<タックスニュース>

日税連が訴え  軽減税率は免税事業者を圧迫する!

 日本税理士会連合会(神津信一会長)はこのほど、2020年度税制改正に関する建議書を決定した。建議書では特に強く主張する項目として、消費税の単一税率維持とインボイス(適格請求書)方式の見直しを訴えた。全事業者にインボイス方式が適用されると、税額控除ができない免税事業者は取引から排除される可能性が高く、「不当な値下げなどにより経営状態が圧迫される」と危機感を持って訴えている。
 日税連は複数税率導入の議論が始まった当初から軽減税率反対を重要項目に盛り込んでいる。建議書では、複数税率の区分経理により事業者負担が増すことや、逆進性対策として非効率であることなどを理由に、「早期の見直しを図り単一税率制度にすべきである」と主張している。逆進性への対応としては、あらかじめ国が一定額を入金したプリペイドカードを配布する方法や、一定額の簡素な給付措置など具体例を挙げて提案した。
 また一定の経過期間を経て導入される予定のインボイス制度については、「免税事業者が適格請求書等を発行できないことに伴い、不当な値下げ等により経営状態が圧迫されることのないよう対策を講じなければならない」として、抜本的な再検討を求めた。複数の税率ごとに詳細な記載が求められるインボイスは、事業者だけでなく「税務官公署にも多大な事務負担を課す」とした上で、税の専門家の立場から「現行の請求書に一定の記載事項を追加するだけで区分経理は十分可能」とインボイス方式の必要性を否定した。

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<タックスワンポイント>

高額介護費の還付忘れ見逃し注意  家族の負担が社会的コストの4割

 介護保険の要介護(要支援)認定を受けている人は今年4月現在で659万人。高齢者の介護に直接かかる費用のほか、家族らによる日常的なケアなど、認知症にかかわる社会全体の負担(社会的コスト)は、厚生労働省の推計によると年間約15兆円に上り、家族の介護負担がその4割を占めているという。
 介護をする家庭には大きな負担を強いる社会だが、その負担を少しでも軽減させるため、介護保険を利用して支払った負担額が一定額を超えると払い戻される「高額介護サービス費」という制度を知っておきたい。支給額は1人単位ではなく世帯単位で計算されるので、世帯に複数の要介護者がいる場合は合算することができる。
 収入の多い順に区分され、自治体によって差はあるが、現役並み所得者に相当する人がいる世帯は4万4400円、世帯内の誰かが市区町村民税を課税されていれば3万7200円、世帯の全員、市区町村民税が非課税であれば2万4600円、生活保護を受給していれば1万5000円――を超える介護費が還付される。
 住宅改修費や福祉用具購入費、介護保険施設での食費や居住費などは、高額介護サービス費支給制度の対象外となる。どれだけ高い介護費用を支払おうとも、支払った者が自ら申請しなければ支給は受けられない。つまり「知らない者が損をする」ということだ。総務省統計局のデータによると、2018年9月現在で65歳以上の人口は3557万人、総人口に占める割合は28・1%で過去最高を記録している。いまある制度はフルに活用してたくましく生き延びたい。

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