タックスニュース

2019年9月27日 金曜日

Vol.0511

<タックスニュース>

ふるさと納税で広がる「物納」  不要楽器を募る自治体も

 任意の自治体に寄付をすることで住んでいる場所に納める住民税などの優遇を受けられる「ふるさと納税」制度で、お金以外のモノを募る自治体が増加している。ふるさと納税の「物納」は制度上認められていて、今後も同様の動きは広がりそうだ。
 三重県いなべ市は昨年10月から、公立の学校の吹奏楽部などで不足している楽器の寄付を募っている。自治体側が希望する楽器をホームページ上で挙げ、寄付を申し出る個人や企業がいれば、専門の業者による価格査定が行われる。その金額を寄付者が了承すれば、金額分が同市にふるさと納税されたことになる仕組みだ。現在では同市以外にも北海道東神楽町、埼玉県北本市、宮城県富谷市も参加し、同じサイトでそれぞれが不足する楽器リストを掲載している。いなべ市ではこれまでに100件を超える寄付があったという。
 また群馬県太田市はふるさと納税を利用して、住宅用太陽光発電の余剰電力の寄付を受け付け、市内の施設の電力に回す取り組みを始める方針だ。住宅用太陽光については、2009年に国による10年間の固定価格買い取り制度がスタートしたが、今年11月に11年目に入ることから、今後多くの住宅で余剰電力が生まれることになる。太田市はそうした電力を比較的廉価で買い取ったり寄付を受けたりすることで、電力の"地産地消"を目指す考えだ。寄付者は、売却額に応じた税額控除を受けられるという。
 ふるさと納税を巡っては、7月に発生した京都アニメーションへの放火事件を受けて同社に集まった個人からの寄付についても、制度を利用して全額を税額控除する仕組みが採用されるなど、これまでになかった活用法が生まれつつある。思い入れのある地方を応援する手法として、今後も様々な分野に広がっていく可能性がある。
 一方で、「物納」があった時には適正な価値をどのように算定するかなど、新たな課題も生まれそうだ。


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<タックスワンポイント>

便利さと危険を併せ持つ特別受益証明書  偽造されれば財産独占状態に

 相続人が不動産を相続して登記を行うには、遺言書がない限り、遺産分割協議書が必要になる。もしくは各相続人による相続放棄の手続きをしなくてはならない。ただ、これらの作成や手続きは面倒な手間が掛かることがあり、できれば簡易に済ませたいというニーズもある。そこで、財産の相続を不要とする相続人は、「わたしは生前にいろいろと贈与を受けたので相続分はもう結構です」といった内容の「特別受益証明書」を出すことで諸手続きを省くことが可能になる。
 証明書は「相続分皆無証明書」や「相続分不存在証明書」、また「相続分が無い証明」などと呼ばれることもある。各相続人の証明書と印鑑証明書があれば、不動産を取得する相続人は遺産分割協議書や相続放棄がなくても、不動産移転登記を行うことが可能になる。
 このように、主に相続による不動産所有権の移転登記を行なうため遺産分割協議書の代わりとして利用されることが大きな目的となっているが、現実の相続の現場では問題も多く発生しているので注意が必要だ。
 相続分の無いことの証明とは、言い換えれば相続財産を全て放棄したことにほかならない。相続人同士の仲が希薄であるときなど、代表する者に実印や印鑑証明書を預けたり、またよく理解せずに当該証明書に記名・捺印して印鑑証明書を渡したりすれば、相続財産は全て持っていかれる可能性を否定できなくなる。
 相続人の一人が他の相続人全員による文書を自作しても、法務局に登記申請書に添付して提出されれば登記官は何も疑わずに受理しなければならない。証明書には大抵「多くの生前贈与を受けたため」などと書かれるが、登記官にとっては実際に他の相続人が贈与を受けていなくても、それは全く関係ない。
 もちろん、偽造による不正が発覚すれば一連の手続きは無効となる。なにより犯罪であり、有印私文書偽造や公正証書原本不実記入罪に該当する。とはいえ実際の不正の現場では財産の有無を全員が把握しないままに行われるため不正が発覚しないことも少なくない。相続にあたって実印や印鑑証明書の扱いはくれぐれも慎重に行いたい。


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投稿者 税理士法人早川・平会計

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