<タックスニュース>

ついに法廷闘争に発展  ふるさと納税・泉佐野市の勝算は?

 ふるさと納税制度から除外された大阪府泉佐野市が、除外決定の取り消しを求めて11月1日、高市早苗総務相を相手取って大阪高裁に提訴した。返礼品競争に端を発する地方と国の対立はいよいよ法廷へとステージを移した。
 ふるさと納税制度を巡っては、2018年11月に総務省が全国に「返礼率は3割以下に抑えるべし」と要請する文書を送った後も、泉佐野市、静岡県小山町、和歌山県高野町、佐賀県みやき町の4市町村がアマゾンギフトカードなどの高額返礼品を送り続けたことから、19年6月に始まった新制度のもとで4市町を制度から除外することが決まった。泉佐野市が「過去にさかのぼる法の適用は不当」として国地方係争処理委員会に訴え、委員会が「地方自治法に反すると評価される余地が生じる」と認定しても、総務省は「真摯(しんし)に受け止めた上で、総合的・多角的に検討した結果、改めて地方自治法に抵触せず、適法であるとの結論を得た」(高市氏)として、除外決定の継続を通知していた。
 総務省の除外継続の通知を受けた千代松大耕市長は「結果は到底受け入れられない」と猛反発。通知から1カ月の期限を目前にして、高裁への提訴に踏み切った。地方自治法に基づき高裁が一審となるが、泉佐野市は「高裁で負けたら最高裁まで争う」(阪上博則・成長戦略担当理事)と徹底抗戦の構えを見せている。第1回口頭弁論が15日までに開かれ、早ければ年内にも判決が出る。
 国と地方の対立が国地方係争処理委員会に持ち込まれたケースは泉佐野市を含めてこれまで4件あるが、裁判まで持ち込まれたのは泉佐野市が初めてだ。裁判に至らなかったケースでも自治体側の主張がそのまま通った例はなく、泉佐野市にとっては厳しい戦いとなりそうだ。
 また泉佐野市では、ふるさと納税で全国を集めた寄付金を目的外利用していたことが明らかとなっている。18年度に受け入れた寄付金300億円を、公共施設を整備する基金に積み立てておきながら、返礼品の費用などに充てていたという。市は「予想以上の寄付金が集まったため一時的に基金に積み立てていただけで、市民に損害は与えていない」と説明し、必要な条例改正案を12月に議会に提出する方針を示した。
 もっとも手続きの不備があったことは市も認めていて、悪質性があったかどうかにかかわらず、基金の目的外利用は地方自治法に抵触する疑いがある。総務省の地方自治法違反を指摘しながら、自身も同法違反の疑いを持たれる行いがあったことは、世論の支持を得体泉佐野市にとって痛手となるかもしれない。

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<タックスワンポイント>

年末ジャンボ発売迫る  10億円の分配は「共同購入」で無税に

 いよいよ11月20日から年末ジャンボ宝くじが発売される。令和初となる今回は1等7億円が23本、前後賞合わせると10億円。抽選は12月31日に東京オペラシティで行われる。1等の当選確率は約2000万分の1で、パーセントにすると0.000005%という極めて低い確率だが、それでも10億万長者という夢をみて、今年も多くの人が購入売り場に列を作るだろう。
 宝くじを買う際には、「当たったら半分あげるよ」と冗談まじりに言うことがあるが、本当に当たって約束通りに半分を与えることになったときは、税務上は大変なことになる。宝くじに税金がかからないのはよく知られるところだが、当選後の贈与となればそうはいかない。
 10億円当たって半分の5億円を譲渡すれば、基礎控除110万円を引いた残りの4億9890万円に最高税率の55%を掛け、そこから控除額の400万円を差し引いた約2億7000万円が贈与税として持っていかれることになる。すなわち、約束どおり5億円を分けてもらっても、手元に残るのは約2億3000万円だけとなる。
 そこで、当選金を減らすことなく分けるためには、共同購入したことにすればいい。当選金を受け取る際に、分けたい相手と一緒に銀行へ行き、共同で宝くじを購入したことを伝えると、当選金も共同で、それぞれが受け取ることができる。これで贈与税は回避できるというわけだ。
 注意しておきたいのは、受け取りの際に銀行が発行する「当選証明書」を大切に保管しておくこと。税務調査では必ず5億円の出どころを聞かれるので、その際に証明書を見せることであらぬ疑いを持たれずに済むというわけだ。

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