<タックスニュース>

アマゾンが納税方針を転換  年間で約150億円納付

 インターネット通販世界最大手のアマゾン・コムが、日本国内の売上を日本法人で計上して納税する方針に転換していたことが分かった。納税額は2年間で約300億円弱に上る。これまで同社は収益を米国法人に計上することで日本での納税額を抑えていた。
 同社は従来、米国の親会社からアマゾンの日本法人が業務委託報酬を受け取る形で事業を運営し、日本国内での収益を低く抑えていた。しかし2016年ごろから、日本法人が取引の主体となるよう方針を改めた。17年12月期決算以降は日本法人で売上高を計上しているといい、その結果、日本法人は決算を開示していないものの17年と18年に納めた法人税額はそれぞれ百数十億円になるとみられる。日本だけでなく、世界各国で同様の方針を採りつつあるという。
 アマゾンが方針を転換させた理由の一つには、GAFAと呼ばれる同社やアップルなどの多国籍企業の税務処理に対する反発が世界中で大きくなるなかで、厳しい課税案が実現する前に、先んじて適切な納税をすることで反発を抑えるという狙いがありそうだ。また実務上でも、外国法人が取引主体では法律によって医薬品や医療機器販売に参入できないなどの制約があったことも理由とみられる。今回の方針転換は、企業イメージの向上と経営上の実利の両面で、事業実態に即した納税をしたほうがメリットが大きいと判断したようだ。こうした動きは、他の巨大IT企業の税務戦略にも影響を及ぼす可能性がある。
 一方で同社は、動画や電子書籍といったデジタル商品、クラウド事業などについては、これまでと変わらず米国法人に売上を計上している。これらの売上は大きく、事業実態に応じた税負担を同社が負担していないとの批判は今後も続くとみられる。画期的な方針転換も、各国で進むデジタル課税の議論に歯止めをかけるまでは至らないだろう。

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<タックスワンポイント>

折半負担の生命保険金は半分が相続財産  被相続人の負担分は相続財産として課税

 被相続人の死亡によって受け取る保険金のうち、相続人が保険料を負担していた分に対応する金額は相続税の課税対象にならない。そのため、父親を被保険者、長男を保険金の受取人にした生命保険について、保険料を父と長男が半分ずつ出していたときは、長男が受け取った生命保険金は半額が相続財産となり、非課税額を超える部分に課税されることになる。つまり、被相続人が負担していた分に対応する額は相続財産とみなされるということだ。
 この際、すべての相続人が受け取った保険金の合計額が「500万円×法定相続人の数」を超えると、その超える部分が相続税の課税対象になる。ここで言う「すべての相続人」には、相続放棄した人や相続権を失った人は除かれるが、計算するうえでの「法定相続人の数」には相続の放棄をした人も含めることになっている。
 一方、相続人が負担した分の保険金は一時所得として取り扱われる。受け取った保険金の額から、払い込んだ保険料と一時所得の特別控除額50万円を引いて、その額の半額に課税される。課税対象になる保険金の額には、保険契約に基づいて受け取った剰余金や割戻金、また前納保険料の払い戻し分も含まれる。

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