タックスニュース

2018年6月22日 金曜日

Vol.0454

<タックスニュース>

寒川町のふるさと納税  寄付金額が前年の145倍に

 任意の自治体に寄付をすると税優遇を受けられる「ふるさと納税」を巡り、神奈川県寒川町が寄付金の5割の価値がある旅行券を返礼品にして、1カ月で前年度の145倍に当たる寄付を集めていたことが分かった。現在、同町は旅行券の返礼を取りやめている。
 寒川町は2018年2月に町のブランド化戦略をスタートさせ、町の認知度向上策の一環として、10万円、30万円、50万円、100万円の寄付にそれぞれ寄付額の5割に当たる旅行券を用意した。3月1日に受け付けを始め、21日に一旦締め切ったが、反響の大きさを受けて27日から30日にも追加で受け付けた。約1カ月で同町に寄せられた寄付金は約15億円で、ほぼ全ての寄付者が旅行券を返礼品に選んだという。
 同町は2015年にふるさと納税の活用を始め、特産の花や冷凍たい焼きなどを返礼品に用意してきたが、15年度の寄付総額は約850万円、16年度は1030万円だった。旅行券によって、1カ月弱で前年1年間の145倍に当たる寄付を集めたことになる。
 ふるさと納税の制度では、一定額までの寄付なら手数料2千円を除く全額が住民税などから控除される。そのため、寄付金に占める返礼品の価値が高いほど、寄付者は"利益"を得ることになる。高返礼率の商品券などに高額納税者の寄付が集中したことから、総務省はたびたび返礼品に換金性の高いものを送らないよう自治体に呼び掛け、「返礼品は寄付金額の3割まで」とする異例の要請を行ってきた経緯がある。
 町は総務省の"基準"を超える返礼品を用意したことについて、「野田聖子総務相が『自治体に任せるのが当然』と発言したこともあり、ルールを破ったとは思っていないが、モラル面で行き過ぎたかもしれない」と話しているという。


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<タックスワンポイント>

非常用食品の損金計上は配備時に全額  1点10万円の備品は減価償却資産に計上

 東日本大震災の発生以降、食糧やヘルメットなどを災害への備えとして設置している企業が増えている。いざというときのことを考えれば働く社員にとっても安心だが、役員・従業員全員分となると、経費としては結構な金額になり、当然ながら損金計上したい。ただ、食料品などは10年から20年も保存できるものもあり、そうなると経費計上の時期も気になるところだが、その時期は購入時なのか、それとも実際の使用時なのか。
 国税庁が公表している「非常用食品」に関する資料によると、食料品は「繰り返し使用するものではなく、消耗品としての特性をもつもの」であり、さらにその効果が長期間に及ぶものであったとしても、減価償却資産や繰延資産に含まれないことから、購入時(配備時)に損金計上してよいことになっている。仮に、その食品が棚卸資産の「消耗品で貯蔵中のもの」であったとしても、災害時用の非常食の備蓄であれば認められる。
 さらに、防災用のヘルメットや毛布なども同様に消耗品費として全額購入時に損金計上できる。ただし、これらは1点の単価が10万円以上のものであれば減価償却資産として資産計上しなければならない。なお、オートバイヘルメットメーカー大手のアライが市販しているモデルの最高級品でも1点6万円台、陸上自衛隊の使用する迷彩色のヘルメットも1万円代で売られていることをみても、10万円以上のヘルメットを見つけることはなかなか困難だろう。
 そもそも従業員が1千人以下で資本金1億円以下の中小企業であれば、取得価格30万円未満の減価償却資産は年間300万円を限度に損金にできる「少額減価償却資産の特例」の適用が可能なので、防災用品の購入費が損金不算入となるケースは少数なのかもしれない。
 備蓄推奨品の範囲は各省庁によって異なるが、おおむね2週間程度、政府オンラインでは「1週間分以上の備蓄が望ましい」としている。なお、一人分の1日の飲料水の目安は3リットルで、1週間で21リットルとなる。
 備えあれば憂いなし。会社としてもできる限りのことはしておきたい。だが、いざというときに民間にできることには限界がある。安全・安心な防災都市をつくるため、つねに行政・政治に対して監視の目を光らせ、予算を有効に使わせるようにしたい。


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2018年6月15日 金曜日

Vol.0453

<タックスニュース>

不祥事つづきの年金機構  首相周辺からは解体論も

 日本年金機構は6月4日、データ入力を委託した情報処理会社のミスで年金の過少支給が生じた問題の再発防止策を発表した。機構本体のずさんな管理や、欠落した当事者意識を抜本的に改善できるのか注目されるが、不祥事にまみれて「時の政権の鬼門」と揶揄される存在だけに、安倍晋三首相の周辺からは解体論も漏れる。
 機構は2017年8月、年金受給者が所得税の控除を受けるために必要な申告書のデータ入力を情報処理会社のSAY企画(東京都豊島区)に委託した。しかし2人1組体制で手入力で作業するなどの契約内容が守られず、作業員も800人のはずが約130人だけ。その結果ミスが相次ぎ、2月には約10万4千人に計約20億円も少なく支給することになった。SAY企画は、無断で中国の業者に約500万人分の氏名の入力などを再委託していたことも判明し、個人情報が流出した恐れがある。
 外部の有識者でつくる調査委員会(委員長=安田隆二・一橋大学大学院特任教授)は、委託先に適正な業務を促す方法として、機構が用意した場所で作業させる「インハウス型委託」の推進や、入札では価格だけではなく技能や法令遵守の姿勢なども評価する「総合評価落札方式」の徹底を挙げた。
 一方で機構内部に対しては、問題の速やかな情報共有や人材の育成などを求めた程度で「危機意識を強くあおる内容ではなかった」(自民党幹部)。機構職員は17年10月の時点で作業の遅れなどを把握して担当理事に報告していた。しかし「他の委託先の選定に時間がかかる」と判断し、業者を切り替えなかった。理事長にも早期に報告しなかった。
 厚生労働省は機構に業務改善命令を出す方針を見せている。安倍首相の側近は「特に納税が絡む不祥事は、対処を間違えると批判が沸騰しかねない」と危機感を抱いている。


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<タックスワンポイント>

上場株式は4つの終値で相続税評価  3カ月の各月の平均値も算出

 相続財産のうち、取引価格が公開されている上場株式は時価が明確であるため、相続税評価額の算定に専門的な知識は不要だ。ただし上場株式の価格は毎日変動しているので、いつの時点の価格を評価額とするかという点は問題になる。
 相続した上場株式の評価の時期は、他の財産と同様に、原則では被相続人の死亡日の最終価格(終値)で判断する。ただし、(1)死亡した月の毎日の終値の平均額、(2)死亡した月の前月の毎日の終値の平均額、(3)死亡した月の前々月の毎日の終値の平均額――の3つも併せて判断し、最も低い価格を相続税評価額とすることができる。上場株式はストップ高やストップ安があれば1日で大きく動くだけに、4つの「終値」は相当の差が生じやすい。
 なお、上場株式の相続税評価額の算定に使う「終値」は午後3時の取り引き終了時点の価格を指す。相続開始日に証券取引所が休みで取り引きがなければ、相続開始日に最も近い日の終値を使う。すなわち、被相続人の死亡が土曜なら金曜の終値、日曜なら月曜の終値を採用することになる。


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2018年6月 8日 金曜日

Vol.0452

<タックスニュース>

軽減税率対策  レジ補助金の詐欺に注意!

 複数税率対応のためのレジ導入に最大200万円を受け取れる補助金を利用した詐欺が増えているとして、補助金事務局が注意を呼び掛けている。消費増税と軽減税率導入が予定される2019年10月に向けて、事業者の対応もいよいよ本格化してきているが、詐欺の電話にだまされないよう、注意を欠かさないようにしたい。
 軽減税率対策補助金事務局は5月22日、「注意喚起」とする文書をホームページ上に掲載した。それによれば、「最近、公的機関を装ってレジスター購入を持ち掛ける勧誘の事案が発生」しているという。事務局は、「公的機関がレジスター購入を持ち掛けることはあり得ません」として、不審な勧誘に惑わされないよう呼び掛けている。
 事案の詳細について事務局は触れていないが、九州北部税理士会が同25日にホームページに掲載したところによれば、(1)県の職員をかたって金銭の振り込み依頼してきた、(2)レジを含む200万円の高額商品を契約させられた――などの事案が実際に起きているようだ。九州北部会は「地域によって様々な手法を駆使してくることが想定されます」として、こちらも怪しい勧誘や不必要な設備取得の誘いに注意するよう求めている。
 同補助金は、補助金は8%と10%の2種類の消費税率に対応するため新たなレジやシステムを導入する企業をサポートするもので、最大200万円を支給するものだ。締切は19年9月30日で、この日までに新たなレジやシステムの導入を終え、その後、事後申請書を提出することが必要となる。補助金の申請受付そのものの締切は、19年12月16日までとなっている。
 補助される金額は導入にかかったコストの3分の2で、レジ1台当たり20万円上限、ただし導入するのが1台のみで費用が3万円未満であれば4分の3、タブレットなどの汎用端末であれば2分の1となる。また新たに商品マスタの設定や機器設置運搬などに費用がかかる時には、さらに1台あたり20万円を上乗せする。1事業者当たり200万円が上限となる。


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<タックスワンポイント>

相続した「鍵付き」の仮想通貨  引き出せなくても税金はかかる

 ビットコインへの投資でまとまった額の資産を形成したAさんが亡くなった。家族は、仮想通貨による利益にも税金がかけられることをニュースで知っていたため、Aさんが残していた帳簿などを基に、ビットコインの保有額も相続財産に含めて申告することにした。
 しかしここで問題が発生する。仮想通貨を動かすためには当然、インターネットから仮想通貨取引所上に設けられたAさんのアカウントにログインしなければならない。しかし家族の誰も、そのパスワードが分からないのだ。Aさんも予期せぬ突然の死だったためか、パスワードを書き残してはいなかった。パスワードが分からなくては口座にアクセスできず、仮想通貨を現金化することもできない。使うこともできない、現実にモノが存在するわけでもない仮想通貨、そんなものが相続税の対象となるのだろうか。
 ビットコインなどの仮想通貨に投資をする人は急激に増えている。不正なアクセスによる流出といった不安はあるものの、短期間で大きな値上がりが期待できることが理由だ。しかし「仮想通貨」という新しい概念だけに、これまでには考えられなかったような税金上の課題も生まれつつあるようだ。
 3月の国会で、国税庁の藤井健志次長は「パスワードの分からない仮想通貨は相続財産に含まれるのか」という質問に対して、「一般論である」と前置きした上で、「相続人がパスワードを知らない場合であっても、相続人は仮想通貨を承継することになるため、相続税の課税対象となる」と答弁した。その理由は、パスワードを知っているか知らないかの真偽は本人の頭の中にしかなく、課税当局としては確認しようがないため、除外はできかねるということらしい。
 仮想通貨ビジネスはまさに今育ちつつある業界なだけに、様々な面に未成熟な面がある。課税関係にしても、昨年秋に「雑所得に当たる」と国税庁が取り扱いを決めたばかり。細部に関しては官も民も手探りと言った状態だ。パスワード付きの仮想通貨の相続などは、その一例だろう。仮想通貨交換業者は、遺族の訴えに応じてパスワードを教えてくれるのか、それが法律上の家族ではなくても同じように対応してもらえるのか。そうした制度の整備は今後進んでいくことが予想されるが、当面は、遺言書に手書きで「ビットコインのパスワードはXXXX012345」などと添えておいたほうが残される家族のためには良いかもしれない。


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2018年6月 1日 金曜日

Vol.0451

<タックスニュース>

やっぱり他にもあった  岐阜市も「ふるさと納税」控除漏れ

 岐阜市は5月22日、昨年にふるさと納税を利用して寄付を行った1253人に対して、税額控除の適用を忘れるミスがあったことを公表した。ふるさと納税の控除ミスは東京都渋谷区でも発覚したばかりだ。岐阜市だけでなく、同様の税優遇の適用ミスは全国で放置されている恐れがある。面倒でも税優遇がしっかり適用されているか、一度は確認しておきたい。
 岐阜市は5月16日に、納税者12万7406人分の住民税税額決定通知書を市内2万1400事務所に発送したところ、18日になって納税者から、「ふるさと納税をしたのに税額控除が適用されていない」との連絡があったという。改めて調査をすると、1255人について制度の適用漏れがあり、うち1253人に対して過大な税額を通知していた。
 適用漏れの対象となったのは、確定申告が不要となる「ワンストップ特例」の利用者だ。同制度では、寄付を受けた自治体から寄付者が住んでいる自治体に宛てて特例適用の通知書が送られ、住んでいる自治体は通知書に基づいて税優遇の適用を行う。岐阜市では、寄付先の自治体から送られてきた通知書をダンボール箱に入れて保管していたが、4箱のうち1箱が別の場所で保管され、そのまま放置されて処理が行われなかった。市は該当者に謝罪の文書を発送し、7月以降に相当額を控除することで調整を行うとしている。
 渋谷区のケースでは、担当者の引き継ぎ漏れがあり、電算処理の委託業者に誤ったデータを渡したことが原因だった。ただしその後、税額決定通知書を発送する段階になって、内部でミスに気付いている。一方、今回の岐阜市は、納税者が控除額を確認していなければミスが放置されたまま過徴収が行われていた可能性もある。また続けて発覚した2つの控除漏れでは、どちらも対象は「ワンストップ特例」の適用者のみだったが、住民税から控除されるのは確定申告をする人も同様であり、経営者などの高所得者でも過徴収に遭う恐れは十分にあるところだ。
 ふるさと納税の控除額は、毎年この時期に送られてくる住民税の税額決定通知書を見れば確認することができる。ただしふるさと納税単体の控除額が独立して記載されているわけではなく、他の寄附金控除などと合算されているため、一見するだけでは控除が適用されているか分かりにくいのが実情だ。
 税額決定通知書は自治体によっても細部が異なるが、市町村税や道府県税の欄に「寄附金税額控除」の欄があれば確認は比較的簡単だ。ふるさと納税以外に寄付をしていなければ、その控除額はそのまま、ふるさと納税の控除額となる。
 ただし多くの自治体では、ふるさと納税に加えて住宅ローン控除や調整控除なども全て含めた「税額控除額」として記載しているので、そうなると計算が難しくなる。住宅ローン控除はどれだけ差し引かれるかを把握していることも多いだろうが、複雑なのが「調整控除」だ。調整控除は、所得税と住民税で控除額に差が生じないよう住民税の控除額を上乗せする制度で、課税所得や配偶者控除の有無などによって額が変動する。おおむね所得の多い人は計算が複雑になるので、顧問税理士などに頼んでチェックしてもらうのが得策だろう。
 自治体が税額を計算して通知してくる賦課課税方式であっても、近年多発する固定資産税の過徴収を見るにつけ、計算ミスはもはや「起きて当然」と言う状態だ。せっかくのふるさと納税で優遇を受けられないことのないよう、一度は自身の税額決定通知書を確認しておきたい。


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<タックスワンポイント>

「情報」の謝礼を損金算入するポイント  料亭での聞き込み料も情報提供料となるか

 情報提供を行うことを業としている者に支払う情報提供料は、モノがモノだけに、その対価は限りなく交際費に近づくが、一般に、税務上でも「情報提供料」として損金に算入することが可能だ。しかし、情報提供のプロではない者に支払う情報提供料を損金扱いにするためには、クリアしなければならないハードルがいくつかある。
 まず、その支払いがあらかじめ締結された契約に基づくものであること、そして提供を受ける役務の内容が契約などで明らかにされており、実際に提供を受けていること、さらに情報提供の内容に照らして支払った金額が妥当であることだ。
 例えば、政界や財界のみならず企業情報にも通じている高級料亭や高級クラブの従業員から客の動向を知らせてもらうことで情報提供料を支払うとする。この場合は、情報の提供内容が特に定められておらず、情報提供自体が現実に行われているか確認が取りづらいため、正当な取引とは認められず交際費扱いとなる可能性が高い。また、得意先や仕入先など取引先の従業員に対する支払いは交際費扱いになる。
 会社としては損金算入限度額が決まっている交際費ではなく、なんとか全額損金算入が可能な「情報提供料」に持っていきたいところだ。


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2018年5月25日 金曜日

Vol.0450

<タックスニュース>

悪用防げぬ成年後見制度  意に沿わぬ財産移動も

 認知症の男性の成年後見を務めていたNPO法人が、男性の死後に自宅の所有権を取得していたことを、神戸新聞が報じた。後見人が後見の対象である本人から財産を受け取ることは違法ではないが、認知症で衰えた判断能力につけ込んだ疑念は否定できない。後見人による財産の横領といった不正事例は近年増え続けていて、信頼できるプロフェッショナルに財産の管理を委ねるという制度の理念そのものが揺らぎつつある。
 成年後見を受けていた男性は、自身の判断能力が衰えてきた2014年夏ごろに、ケアマネージャーへの相談を通じて神戸家裁に制度の利用を申し立てた。後見の種類は本人の判断能力によって後見、保佐、補助と分かれるが、神戸市のNPO法人はこのうち男性の補助人に選任され、以降家裁の認める代理権の範囲内で男性の後見を務めてきたという。
 しかし男性が17年2月になくなると、その半年後の8月に男性の自宅と土地の所有権がNPO法人に移転した。神戸新聞によれば、16年11月に法人の理事長が男性の入院先を訪問し、公証人とともに公正証書遺言を作成したという。所有権の移転は男性自身が作成した公正証書遺言によるものだが、判断能力の衰えた本人から後見の立場にある人や法人が財産を受け取ることに対して、「立場の悪用」として批判する声も出ているようだ。
 介護や財産管理を行ってくれた相手に対して遺産を相続させるというのは現実にあり得る話で、成年後見人である個人や法人に対して財産を譲ることは違法ではない。しかし判断能力の衰えた本人を支援するという成年後見制度の性質上、後見人が自らの利益になるよう本人を誘導するリスクは否定できないところだ。
 認知症患者を誘導して後見人が自分の思うように財産を使うというケースは増えているようで、大阪家裁は今年3月、後見人に利用者本人の意思を尊重するよう求めるガイドラインを策定した。財産を動かす上では本人の希望や価値観を最大限考慮し、また本人の意思決定を助けるあらゆる方法が尽くされていないと意思決定ができないとはみなさないとする内容で、いわば本人の判断能力の衰えを理由に財産を勝手に動かす後見人をけん制するものだ。
 また高齢社会会に伴い成年後見制度の利用者が増え続けるなかで、後見人の横領や不正も増えつつある。今年4月には公益社団法人社会福祉士会に所属する個人が、成年後見を担当していた女性の遺産を受け取ったとして戒告処分を受けている。家裁に選任されて成年後見人の不正を監視する「後見監督人」の数も年々増え続けているが、対応が後手に回っている印象は否めない。
 今後、人口の10人に1人が認知症患者になるという「大認知症時代」がやってくるなかで、成年後見制度の利用はさらに増加していくことが予想されているが、同時に後見人の横領や同意のない財産移動を防ぐ手立てを講じていくことも必須となっていきそうだ。


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<タックスワンポイント>

新築住宅の「一の階の床面積」とは  省エネ住宅と長期優良住宅の違い

 一生の買物ともなるマイホームの購入には、現在、多くの税優遇が用意されている。購入時には、親や祖父母からの贈与が最大1200万円まで非課税となり、購入後には、10年間にわたって利用できる「住宅ローン減税」や、最大30 万円がキャッシュで戻ってくる「すまい給付金」がある。
 さらに購入したマイホームが新築であれば、取得から数年間のあいだ、建物にかかる固定資産税が半額になるという優遇もある。家という大きな買物をした直後は貯金が減っていることも多いため、たとえ期限付きであっても、こうした税優遇があるとないとでは大違いだろう。
 この固定資産税の軽減特例が適用される期間は、原則として一戸建てなら3年、マンションなら5年となっている。しかし、耐震性能に優れるなどの一定の要件を満たせば、「長期優良住宅」として優遇期間が延長され、戸建て5年、マンション7年まで延ばすことが可能だ。住宅の性能に応じて税優遇が増えるというのは、取得資金の贈与にかかる非課税特例でも同様だが、そちらでは優遇拡大の対象となる住宅は「省エネ等住宅」と、少し表現が異なる。
 「長期優良住宅」と「省エネ等住宅」は、それぞれ要件が細かく異なるものの、おおよそ「一定の床面積」、「耐震性能」、「省エネ性能」が基準となっている点は同じだ。昨今の新築住宅やマンションは省エネや耐震に気を使っていることも多く、意識せずとも「両方に当てはまっている」ということも少なくない。
 ただし一点注意したいのは、省エネ等住宅になく、長期優良住宅にある要件の「少なくとも一の階の床面積が40平方メートル以上(階段部分を除く)」という部分だ。この「一の階」とは必ずしも一階である必要はなく、最も面積の多い階の面積が40平方メートルということ。都心部などでは一階当たりの床面積が30平方メートル程度、3階建てで総床面積約90平方メートルという住宅も多いが、これは長期優良住宅には当てはまらないということになる。つまり贈与税の「省エネ等住宅」には該当しても、固定資産税の「長期優良住宅」の優遇は受けられないことがあり得る。
 マイホーム購入の際に適用できる様々な税優遇は、適用できるかどうかでトータルの税負担が大きく変わってくる。購入の際には必ずチェックすべきだろう。


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