タックスニュース

2018年10月12日 金曜日

Vol.0468

<タックスニュース>

軽減税率対応に中小企業の腰重く  政府不信と延期観測も一因

 2019年10月に予定される消費税率10%への引き上げまであと1年に迫った。今回は、食料品など一部の商品で税率を8%のまま据え置く「軽減税率」も導入されるのが特徴だ。業界では複数の税率に対応するためのレジ刷新や店舗での対応マニュアルの作成などが求められるが、日本商工会議所の調査では準備に取りかかった会員中小企業は2割にとどまるなど、準備は順調とは言い難い。
 日商が今夏実施した会員企業向けアンケート調査では、レジ刷新などの準備に既に取りかかったのはわずか2割だった。見積もりを取るなどして専門家に相談はしているが実行に移していない業者を入れても5割を切る水準で、担当者は「準備が遅れているのは明らか」と頭を抱える。
 国が16年から展開する、レジ刷新などへの補助制度を申請した件数も、今年8月末時点で当初想定した33万件の約2割(約8万件)にとどまる。所管する経済産業省は「増税直前に注文が殺到すると、レジ業者が対応しきれなくなり、混乱が生じかねない」と、早めの対応を呼び掛けている。
 ただ、業者の腰が重い一因は、消費税の10%への引き上げが2度延期されてきた経緯だ。小売り大手幹部は「今度も本当に増税し、軽減税率を導入するのかと懐う部分はある。投資をして無駄骨になるのは嫌なので、レジ対応はぎりぎりまで様子見を続ける業者が多そうだ」と打ち明ける。日商担当者も、「政権には、『今度は確実に上げる』となるべく早く明確にアナウンスしてほしい」と望んでいる。


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<タックスワンポイント>

小規模宅地の特例要件は区分を明確に  利用状況で6種類、減額割合は8~5割

 相続税法には、相続財産のなかで事業や居住のために使われていた宅地について、一定の要件を満たせば、その宅地に課税される相続税を減額する「小規模宅地等の特例」という制度がある。宅地の利用状況によって最大で税金が8割も減額される非常にありがたい制度だが、適用要件は意外と複雑で、税理士であっても適用の可否について判断に迷うことが多くあるようだ。
 特例の適用対象となるのは、「事業に使っている宅地」と「住んでいる宅地」に分けられ、さらに事業用宅地は「特定事業用宅地等」「特定同族会社事業用宅地等」「貸付事業用宅地等」と細かく3つに種類が分かれる。特例の適用にあたってはそれぞれ要件が異なり、この時点ですでに難解だが、そのなかでも特に判断が難しい事業用宅地について事例を紹介する。
 被相続人が営んでいた酒屋を取り壊して、相続税の申告期限までに賃貸アパートに建て替えたときなど、全く異なる事業に転業した場合は、特定事業用宅地等として認められない。これが、酒屋をコンビニに変えたのであれば、被相続人の事業の一部を他の事業に転業したにすぎないため、特定事業用宅地等として認められる。
 また、区分所有登記がされている完全分離型二世帯住宅では、分譲マンションと同じ取り扱いとなり、特定居住用宅地等と認められない。被相続人が老人ホームに入居して、居住していた自宅が空き家となったとしても、そこでの居住は継続しているものとして、特定居住用宅地等として認められる。
 ただし、空き家となった自宅とは別に住んでいた親族が住み始めたり、他人に賃貸したりした時は、居住が継続しているとはならないので、特定居住用宅地として認められなくなる。
 被相続人が居住していた宅地が海外に所在していた場合であっても、特例の適用要件にはその宅地等の所在については定められていないため適用は可能となる。
 相続開始の直前における宅地がどの地用区分にあたるかで税額は大きく変わるため、特例の適用にあたっては国税庁のホームページなども参考にして慎重に判断してほしい。


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2018年10月 5日 金曜日

Vol.0467

<タックスニュース>

「徴収共助」で国外資産8億円徴収  豪人男性による贈与税滞納

 日本の税金を滞納していたオースラリア人男性について、各国の税務当局が協力する「徴収共助」制度を使って、国税庁が約8億円を徴収していたことが分かった。同制度を活用して億単位を徴収したのは初めてだという。2018年9月からは海外口座の情報を自動交換する仕組みがスタートするなど、国境を超えた税務当局の協力体制が着々と構築されつつある。
 8億円を徴収された男性は、数年前に日本に住む親から数十億円の贈与を受けたという。贈与者と受贈者のどちらかが日本国内に住む場合、引き継がれた財産は国内の相続税・贈与税の対象となるが、男性は贈与税を納めず、また督促に対しても納付の意思を示さなかった。東京国税局は男性の国内の預金を差し押さえた上で、国税庁を通じて豪税務当局に「徴収共助」の適用を要請し、豪税務当局は男性の預金を差し押さえて不足分全額を日本に送金した。
 「徴収共助」とは、13年に発効された「税務行政執行共助条約」で定められた3つの取り組みのうちの一つだ。同条約では、(1)租税に関する情報を相互に交換する「情報交換」、(2)滞納者の資産が他国にあるときに、その徴収を依頼できる「徴収共助」、(3)租税に関する文書の宛先が他国にあるときに、送達を依頼できる「送達共助」――で成り立つ。条約には日本、米国、英国、フランス、ドイツ、韓国などが加盟し、現在では53カ国・地域との間で、徴収共助の取り組みが発効している。同制度で億単位を徴収したのは初めてだが、日本はこれまでにも複数のケースで徴収共助を活用して滞納分の国外財産を徴収しているという。
 国外資産を巡る税務当局の取り組みとしては、国外に作った預金口座について、各国の税務当局が情報を交換する「CRS(共通報告基準)」制度が、日本でも9月にスタートしている。基準を適用する国同士が、それぞれの国の金融機関に開設された相手国居住者の口座情報を、年に一回、自動的に交換するという仕組みで、加盟した100を超える国・地域すべてとの間で行われる。今までも必要に応じて税務当局が相手国に情報を請求して取り寄せるというやり取りは行われてきたが、同制度によって個別請求せずとも定期的に最新の情報が送られてくるようになるわけだ。今後は、国内での税滞納に対して徴収共助制度を使い、CRSで情報を得た国外資産を差し押さえるといったケースも出てきそうだ。


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<タックスワンポイント>

まぎらわしい2つの「計画」の違いはどこ?  経営力向上計画と先端設備等導入計画

 国内法人が過去最高の利益を記録する一方で、設備投資が思うように伸びないという状況を打破するため、国は毎年のように企業の設備投資に対する税優遇を拡充している。企業にとってはうれしい話だが、年々変わる制度の内容を把握するのは大変でもある。見直しの過程では類似した制度が併存することもあり、まぎらわしいことこの上ない。
 例えば今だと、新たに取得した設備にかかる償却資産税を減免する制度が二つ存在する。どちらも要件として、設備投資によって生産性が上がるという「計画」を作成して認定を受けることを求めているが、書類の内容は「経営力向上計画」と「先端設備等導入計画」で、認定する主体も違うまったくの別物だ。とはいえ記載内容には重複する部分が多く、補助金の優先採択や金融支援といった優遇内容も共通している。どうやら要件などに違いがあるようだが、実際に利用するならどちらがトクなのだろうか。
 まず「経営力向上計画」は、中小企業等経営強化法という根拠法に基づく制度で、生産性を年1%以上向上させる計画が認められれば、3年間償却資産税が2分の1になるというもの。この計画を認めるのは国だ。税優遇が適用される期限は2019年3月末となっていて、税優遇の他には政府系金融機関からの低利融資や信用保証、ものづくり補助金や事業承継補助金の採択時には加点されるというメリットがある。
 一方の「先端設備等導入計画」は、生産性向上特別措置法に基づく制度で、生産性を年3%以上向上させると、3年間償却資産税が減免されるというもの。具体的な軽減割合は自治体によって異なり、最小でも「経営力向上計画」と同じ2分の1、最大で税負担がゼロとなる。実際には約9割の自治体がゼロ税率を採用しているようだ。こちらの認定主体は市町村で、適用期限は「経営力」より2年長く21年3月末となっている。こちらにも信用保証、ものづくり補助金、小規模事業者持続化補助金の加点などの恩恵がある。
 両者を比べての最も大きな違いは、求められる生産性アップの要件だ。「経営力」は年1%に対して「先端設備」は年3%と厳しい条件が設定されている。その分優遇も大きく、後者では自治体にもよるが税負担がゼロまで減る。例えば耐用年数10年で1500万円の設備を取得するケースなら、税負担を3年間で50万円弱軽減できることになり、その恩恵は大きい。両方の償却資産税の優遇を併用することはできないので、購入する設備の性能などによって制度を使い分けたい。ただし補助金によっては、両者の特典を重複して使えるものもあるため、どうせ申請内容が似ているのだから、補助金のために両方認定を受けるのもアリだろう。


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2018年9月28日 金曜日

Vol.0466

<タックスニュース>

宿泊税?それともレンタカー税?  沖縄県が導入を検討

 有名観光地を抱える自治体での導入が相次ぐ「観光税」を、沖縄県でも導入しようという動きが進んでいる。同税を課す他の自治体では宿泊料金に上乗せする「宿泊税」の形を取るところが多いが、沖縄ではレンタカーの利用者に課する形での徴収も併せて検討されているようだ。
 9月10日に沖縄県庁で開かれた検討委員会の第1回会合では、沖縄を訪れる観光客数が直近の5年間ほどで1・5倍に増えているデータなどが示され、観光客の増加に伴う様々な課題を解決するために観光目的税の導入が必要だとの認識を共有した。具体的な案として県内のホテルや旅館に泊まる人に課す「宿泊税」と、レンタカーを県内で利用する人に課す「レンタカー税」を挙げ、今後の会合では両者を並行して検討していく方針を確認した。
 近年になり、東京都、大阪府、京都市など多くの自治体が観光目的税を導入したが、そのほとんどは宿泊税として徴収する形を取っている。沖縄でレンタカー税が議論に挙がるのは、県特有の交通事情があるためだ。沖縄には都市モノレールを除いて鉄道が存在せず、ほとんどの観光客は県内でレンタカーを借りて移動する。観光客の増加に伴いレンタカーの台数も増え、県の玄関口である那覇空港の送迎場では、レンタカー会社の送迎車を待つ長蛇の列が一時期、問題となったほどだ。
 沖縄県は過去にも観光目的税について検討したことがあるが、レンタカー税は徴収コストと事業規模が見合わないとして、導入するなら宿泊税が最適との結論を出した経緯がある。しかし観光客が右肩上がりで増えている現在では事情が変わり、また「取りやすいから宿泊税にするのはおかしい」(出席した委員)などの声もあることから、ゼロベースで両者を検討するのが適当との結論に至った。委員会は今年度中に結論を出し、21年度までの徴収を目指すという。


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<タックスワンポイント>

従業員への食事代が非課税になる範囲  給与所得となれば社会保険料にも影響

 多くの業態で人手不足が深刻化している。厚生労働省が今年6月に発表した有効求人倍率は1・60倍で44年ぶりの高水準となった。従業員の定着率を上げたうえで優秀な人材を新たに呼び寄せたいところだが、賃上げにはどうしても限界がある。それでは、非金銭報酬として福利厚生を手厚くしようと思うが、社宅や豪華な旅行を準備する余裕はない。そこで、まず手を付けやすいのは食事の提供ということになるか。
 企業が仕出し弁当などの食事を提供するにあたって、やはり気になるのは課税対象とならないかどうかの基準だろう。せっかく従業員サービスだと思って実行しても、給料扱いで課税されては従業員も経営者もおもしろくない。給与所得になるということは、健康保険料や厚生年金保険料、雇用保険料などの社会保険料も上がるのでくれぐれも注意が必要だ。
 食事の提供が課税されないためには、弁当代の全額を会社が負担せず、必ず代金の半額以上を従業員が負担する仕組みが必要だ。そして、会社の負担は1人あたり月額3500円(税込3780円)以下でなければならない。つまりいくら社員のためといっても「全額無料」では社員への給与所得とみなされてしまうわけだ。仮に1つ800円(税込)の仕出し弁当であれば、希望する従業員には半額の400円を徴収する前提で、かつ月9回(3780円÷400円=9・45回)までしか提供できない計算になる。
 ただし、これは通常の勤務内での話であり、残業時間での食事提供となれば内容は異なる。残業食事代は、残業をした従業員に対する慰労を兼ねた実費弁償的なものであり、それゆえに常識的な金額の範囲であれば課税はされないことになっている。この場合、弁当など食事そのものを提供しても、また従業員がスーパーなどで立て替えて購入をして実費精算しても可能だ。
 なお、終業後すぐに出された食事であれば、実費弁済の意味が薄らぐことから課税されるリスクも考慮しなくてはならない。


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2018年9月21日 金曜日

Vol.0465

<タックスニュース>

利益剰余金 過去最高の446兆円  内部留保課税に現実味

 財務省が「内部留保課税」の実現に向けて動き出す。9月3日に発表した2017年度の法人企業統計で、金融・保険業を除く企業の内部留保にあたる利益剰余金が446兆円に上っていることが判明。6年連続の増加で過去最高を更新し、前年度比で9・9%増という伸び率はこの6年で最も高いものだった。麻生太郎財務相は、翌4日の記者会見で「あれだけ貯めて何をするのか。給料が伸びたといっても2ケタに達していないし、労働分配率も下がっている」といら立ちを隠さなかった。
 安倍晋三首相は、事あるたびに賃上げや設備投資を企業トップに要求している。その効果か、法人企業統計でも、人件費は前年度より2・3%増えて206兆円、設備投資も5・8%増の45兆円となったが、当期純利益も61兆円と24%も増えた結果、利益余剰金が拡大した。一方で、企業が支払った税金にあたる租税公課は11兆円から10兆円に減った。安倍首相肝いりの法人税引き下げが、図らずも内部留保を積み増した形だ。
 内部留保は法人税を支払った後の剰余金のため、財務省は「二重課税」の批判を嫌い、課税に慎重な姿勢だった。しかし昨年9月、小池百合子東京都知事が立ち上げた希望の党の政策公約では、消費税を延期した場合の財源として内部留保300兆円に課税する案が盛り込まれた。麻生氏は「二重課税だ」と攻撃してみせたが、実態は「民進党から合流した玉木雄一郎衆院議員(現国民民主党代表)ら旧大蔵省OBメンバーを通じ、財務省が上げた観測気球だった」(自民党幹部)という。財務省幹部は「内部留保がさらに拡大していく見通しである今こそ、堂々と課税を議論して実現させたい」と語る。


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年をまたぐと相続税が数千万円増!?  地価変動を見越した土地対策を

 ひとり暮らしの高齢女性が、元日に浴槽で亡くなっているのが様子を見に来た家族によって発見された。検視の結果、死亡推定時刻は大晦日の午後10時だったという。この女性は1000坪以上の自宅や農地を所有する不動産オーナーで、遺産の大半も不動産だった。
 土地の相続財産としての価値は、国税庁が毎年7月に発表する「相続税路線価」によって算定される。路線価は毎年1月1日時点での一定の範囲内の道路(路線)に面した土地を評価するものなので、つまり土地の相続税評価額は、「死亡した年の元日の値段」によって決められるわけだ。
 女性は大晦日、つまり12月31日の午後10時に死亡したと推定された。そうなると評価額は約12カ月前、"旧年"の1月1日の値段となり、約3億400万円となった。税務署はその評価に基づき課税をしたが、猛反発したのが故人を発見した家族たちだ。というのも、一夜明けた1月1日、つまり"新年"の同じ土地の路線価は大きく下がり、相続税評価額は2億2600万円だったからだ。その差はなんと7800万円に上る。
 故人が旧年中に死亡したという確証もないのに、税負担に大きな差が出るという処分に遺族らは不服を申し立てた。検視の医師は産婦人科医で法医学の知識に乏しく、また故人は「紅白歌合戦」を見た後に除夜の鐘を聞いてから入浴する習慣があったため、浴槽で亡くなっていたなら年が明けていたはずとの推測を元に、結局争いは法廷までもつれ込んだ。
 このケースは地価下落の時代だったため、年が明ければ税負担が下がるというパターンだったが、今の日本は地下上昇の時代だ。特に都市部では前年に比べて地下が2~3割上がる地点も多く、ただ年をまたいだというだけで、同じ土地でも相続税が数千万円増える可能性もゼロではない。もし値上がりが見込まれる都市部に土地を持っているなら"もしも"の事態が起きる前に、何らかの相続税対策を講じておきたい。


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2018年9月14日 金曜日

Vol.0464

<タックスニュース>

「独自予想加えた」で一時所得に  ハズレ馬券裁判で納税者敗訴が確定

 競馬予想プログラムを使って2年間にわたり約3億円の当選金を得た男性に対し、最高裁判所第一小法廷(小池裕裁判長)は8月29日、男性の上告を退けた。これにより、男性の馬券収入は一時所得に当たるとした地裁判決が確定した。長期間にわたる多額の馬券収入を巡っては、近年2度にわたって本来の一時所得ではなく雑所得と認める判決が出ている。今回異なる司法判断が下された理由には、プログラムにすべてを任せない「独自予想」が影響したようだ。
 横浜市の男性は、独自開発した競馬予想プログラムを用いてレース結果を予想し、2009年~10年の間に約2億8千万円分の馬券を購入。約3億円の払い戻しを受け、これを「事業所得」として申告し、ハズレ馬券の購入費を経費としたが否認された。予想に当たっては馬券購入をプログラムにすべてを任せず、自身の判断も加えていたという。判決では、男性が自身の判断を加えていたことをもって、「購入規模は大きいが、一般的な馬券愛好家の購入態様と質は異ならない」と判断。さらに赤字の年もあり収益が安定していないことなどからも「社会通念に照らして『事業』に該当するとは言えない」と結論付け、一時所得が妥当とした。
 馬券収入を巡っては15年と17年に、競馬で多額の払い戻しを受けていた男性2人が、それぞれ「雑所得」を主張して国税と対立し、勝訴している。その結果、国税庁は馬券収入の取り扱いに関する通達を改正し、「馬券を自動的に購入するソフトウェアを使用して定めた独自の条件設定と計算式に基づき、または予想の確度の高低と予想が的中した際の配当率の大小の組合せにより定めた購入パターンに従って、偶然性の影響を減殺するために、年間を通じてほぼ全てのレースで馬券を購入するなど、年間を通じての収支で利益が得られるように工夫しながら多数の馬券を購入」したケースについては、雑所得として扱い、ハズレ馬券の費用を経費に含めるとしている。今回の男性は雑所得ではなく事業所得と主張したが、どちらにせよ裁判所は、一般の競馬愛好家と変わらない「一時所得」と結論付け、過去の2回の判例とは判断を分けたことになる。
 今回の判決をもって「プログラムに任せれば雑所得、独自予想なら一時所得」と結論付けることはできない。17年12月に雑所得を認められた男性は、自動購入ソフトなどは使わず、レースごとに結果を予想して、計約72億7千万円分の馬券を購入して計約5億7千万円の利益を得ていたからだ。この男性に対して最高裁は、「多額の利益を恒常的に上げていて、プログラムを使用したケースと本質的に違いはない」とハズレ馬券の経費性を認めた。
 改正通達でも雑所得して認められる条件をソフトウェア使用に限定していないように、馬券で得た収入が一時所得に当たるかどうかは、あくまでケースバイケースで、購入態様や期間、当選金の額などによって決まるということのようだ。しかし納税者にとっては前もって予見しづらく、不安の残る状態になっている点は否めない。


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<タックスワンポイント>

アパマン建設節税の仕組み、分かってる?  節税のために借金はくれぐれも慎重に

 相続税の節税を目的にローンを組んで土地を購入し、アパートやマンションを建設する。そうした投資が節税につながるのは、相続税を計算する際の評価額は建物も土地も基本的に通常の取引金額よりも低くなるためだ。アパート建設のために銀行で1億円のローンを組み、土地を購入して建物を建てたとき、土地と建物の評価額は大抵7千万円程度とされるため、これだけで相続財産は3千万円減ることになる。さらに相続税の申告にあたっては、建物には貸家の評価減、土地は貸家建付地の評価減などで、さらに評価額が下がることが見込まれる。実際に3割以上下がるのなら、利息を考えても取り組んでみる価値はあるだろう。
 ただし、その効果はずっと続くわけではない。その理由は家賃収入だ。建物の評価額は年ごとに下がるものの、それ以上に家賃収入があれば節税効果分を埋めてしまうことになる。したがって、アパマン建設による節税効果は家賃収入や経費支出などにより変わるので、長期的な計画が必要になる。
 一般的な節税策に加え、アパマン建設では、親が社長となり、その会社が借金をしてアパートを建設し、子を株主とするパターンもある。ポイントは親の信用で借金をするので、子がまだ若いときに実行しやすいことと、家賃収入が会社に貯まるので、それが株主である子の財産となり親の財産が増えない点だ。もちろんこれだけでは、親の財産を増やすことも減らすこともないため、節税のためにはほかの方法を組み合わせる必要がある。
 どのような仕組みでアパマン経営を行うかは、親の財産規模や年齢、その他のたくさんの条件で変わってくるだろう。また、それぞれで土地の評価額が変わることと、貸家に使える小規模宅地の特例の適用から外れてしまうことも考える必要がある。何よりも、多くの場合で借金を抱えて取り組むことになるため、節税のためとはいえ、あくまでもアパマン経営者であるという自覚は必要だろう。


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