タックスニュース

2010年9月24日 金曜日

Vol.0091号

<タックスニュース>

菅続投で税調再始動  課題は「ねじれ国会」への対応

 菅直人首相と小沢一郎前幹事長が真っ向から対決した民主党代表選は、菅首相の大勝で幕を閉じた。菅首相続投で、小沢氏が廃止を示唆した党政策調査会が存続する見通しとなり、党政調直属の税制改正プロジェクトチーム(PT)が政府税調と並行して税制改正を議論する今年の枠組みもほぼ確定。
 さらに、税制抜本改革・社会保障PTも、菅首相の再選を受けてようやく発足する。このPTでは、今後の社会保障の在り方とその財源となる消費税増税について議論する見通しだ。税制改正PTでは地球温暖化対策税(環境税)や法人税率引き下げが主な論点となる予定で、税制抜本改革PTとはすみ分けをしていくことになっている。
 民主党はさらに、税制抜本改革PTを超党派による消費税議論の場に位置付けようとしている。超党派で真剣に社会保障と財源について議論すれば、消費税増税は避けては通れないのではないか、というのが民主党側の思惑だ。
 ねじれ国会では、税法も含めてすべての法律が与党単独では成立できず、野党との協力が不可欠。政府税調では制度上、超党派の議論はできないため、党政調がその役割を担うことになる。民主党は野党の協力を取り付けて、消費税率引き上げへの道を開こうとしているが、菅首相のリーダーシップが問われてくる。

<タックスワンポイント>

史上初のペイオフ発動!  事前対策で資産防衛

 9月10日、日本振興銀行(東京・千代田区)が経営破たんした。これを受けて金融庁は史上初めてとなるペイオフの発動を決定。預金保険制度により1千万円とその利息は保護されるが、それを超える金額はカットされる可能性が出てきた。預金保険機構によると、1千万円超の預金者は3423人、総額はおよそ110億円に上るとみられている。今回の騒動を機に、高額預金者の間でペイオフ対策に注目が集まっている。
 ペイオフが発動されると、預金保険制度により、1人1金融機関につき1千万円とその利息のみが保護される。「1人1金融機関につき」とされていることから、1金融機関の中で複数の「商品」「口座」もしくは「支店」に預け分けている場合、いずれにおいても同一人の口座は1つにまとめられ、その上で1千万円とその利息しか保護されない。
 ペイオフ対策では、預金の分散も有効な手段だが、ここで気を付けたいのが、その分散先。たとえば、同一金融機関の中で、A社代表者○△名義の預金と代表者個人□△名義の預金とに分散した場合、いずれの預金もA社のものとしてひとくくりにされ、結局、1千万円とその利息しか保証されない結果となる。また、会社の代表者ではなく、複数の役員個人名義の口座に預金を小分けにした場合も、実態が会社の預金と見なされてしまえば結果は同じだ。したがって、預金の分散は複数の金融機関にまたがって行うほうがより確実である。
 ところで、多くの金融機関はペイオフ解禁を機に、普通預金(有利息型)から、全額が保護対象となる決済用預金(無利息型)への切り替えを行っているが、この切り替えの際に預金者が提出する「無利息型預金切替申込書」は印紙税の課税対象になるので気を付けたい。変更契約書として第14号文書(金銭の寄託に関する契約書)に該当し1通当たりの印紙税額は200円となる。

投稿者 税理士法人早川・平会計 | 記事URL

2010年9月17日 金曜日

Vol.0090号

<タックスニュース>

各省税制改正要望の呆れた中身――  財源なき減税が横行

 政府税制調査会は8月末、各省庁からの平成23年度税制改正要望を締め切った。減税要望が増税要望を上回り、野田佳彦財務相が各省庁に要請していた、減税要望には相当する財源を確保するペイ・アズ・ユー・ゴー原則の徹底はないがしろにされた。
 今後、税調の議論で焦点となりそうな要望の中でも、最も「大玉」で減収額も最大なのは、経済産業省が要望した法人税の5%引き下げだ。経産省はその減収幅を1兆円と見込んだが、1%当たり2千億円という試算基準は、税収が低かった同22年度の法人税収6兆円をベースにした数値。この10年間の法人税収をベースにすると、1%当たり3千億~5千億円の減収にまで拡大するため、5%下げた場合の減収幅はさらに膨らむと財務省はみている。
 経産省は見合う財源を明示しておらず、財務省幹部は「財源の確保をまずは徹底するように要請する」と心中は穏やかではない。法人税の減税は、政府の新成長戦略の目玉となっている政策で、新たに発足させた新成長戦略実現会議でも主要テーマとして取り扱われる見通しだ。経産省は官邸主導の成長戦略を盾に、ナフサ租特の恒久化も要望しており、このままでは財務省との全面対決にもなりかねない。

<タックスワンポイント>

国税庁・「買い換え特例」で通達見直し  2億円要件の判定方法

 国税庁はこのほど、平成22年度税制改正で延長された「特定居住用財産にかかる買い換えにおける長期譲渡所得の特例」について通達を改正し、改正内容とその趣旨について明確にした。同特例は、今年度改正により「譲渡資産の譲渡に係る対価の額が2億円を超えるものを除く」という要件が追加された。
 趣旨説明によると、同特例については、昨年の政府税制調査会で「高額な譲渡益が発生しているにもかかわらず課税を行わないことは税の公平性を損なう」との指摘があった一方、現在の厳しい経済状況下では「住宅・不動産の流動化を促進し、ライフステージに合わせた住み替えを引き続き促進するための税制支援が必要」といった意見もあったことから、2億円の金額要件を設けたうえで延長されたとしている。
 また、同要件における2億円の判定には、①譲渡資産が店舗兼住宅だった場合、特例の対象となる部分や譲渡対価の額をどのように算出するのか②譲渡資産の一部を贈与している場合はどうなるのか―といった疑問が生じるが、今回の通達改正により、①については、通達中に明記された算式に基づき計算すること、②については、高額な居住用財産の一部を贈与することで要件をクリアすることを防ぐため、譲渡の年の前後2年以内に贈与がある場合、譲渡対価の合計額に贈与時の価額を含めて判定することなどが示された。
 このほか、「土地等の先行取得をした場合の課税の特例」「特定の土地等にかかる長期譲渡所得の特別控除」についても同様に通達が改正され、その趣旨内容について明確にされている。

投稿者 税理士法人早川・平会計 | 記事URL

2010年9月10日 金曜日

Vol.0089号

<タックスニュース>

証券優遇税制、延長へ――  円高不況で市場下支え

 金融庁は8月31日、平成23年度税制改正で、同23年末に期限を迎える証券優遇税制の延長を財務省に要望した。当初は優遇税制を廃止し、証券税制を抜本改革することも検討されたが、欧米の景気先行き不安を背景に円高株安が進行する中、優遇税制を延長して株式市場を下支えする必要があると判断した。
 証券優遇税制は、上場株式の配当や譲渡益にかかる税率を本来の20%から10%に軽減する措置。証券市場の活性化を図るため、「貯蓄から投資へ」の流れを加速させようと同15年度に導入された。その後、同18年のアメリカ発金融危機を受け、株価対策として同21年度税制改正で3年間延長された。
 一方、民主党内では優遇税制廃止の機運があった。民主党は、個人投資家に証券市場への参加を促すため、上場株式や株式投資信託の配当と譲渡損益に加え、預金金利や先物取引など金融商品に関する損益を通算して課税する「金融商品の一体課税」の導入を推進している。しかし、預金金利の税率は20%で、優遇税制の適用される株式配当や譲渡益と異なっているため、一体課税の導入には、まず税率の一律化が必要だった。
 金融庁は7月末から金融税制調査会(座長・大塚耕平副内閣相)で優遇税制の廃止や一体課税導入の議論を進めていた。しかし、8月に入り、外国為替市場で円相場が1ドル=83円台に突入。輸出企業の業績悪化が懸念され、日経平均株価が9千円を割り込んだため、優遇税制の性急な廃止は困難と判断した。

<タックスワンポイント>

油断できない秋の調査シーズン  赤字会社を注視する当局

 会社が赤字だからといって「調査なんて来ない」と思っていたら大間違い。中小企業の7割が赤字という中、税務当局は赤字法人も厳しく見ている。調査先としてまず調査官に選定されやすいのが、前期は黒字なのに今期になって赤字に転落した会社。売上のごまかしは利益操作においてよくある手段。社員ではなく社長自らが独断で売上除外を実行しているケースも多く、調査官も売上関係は警戒している。
 多額の貸し倒れ損失がある場合も厳しく追及される。貸し倒れの損失計上のタイミングが、いかにも黒字が出たタイミングに合わせているようだと、否認されるケースがある。
 社長を中心とした役員給与まわりは、赤字や黒字関係なしに税務調査の大きな山場。「定期同額給与」については資金繰りの都合などで支払うことができず、未払い処理しているケースがあるが、未払いにしたからといってすぐに全額が損金不算入とはならない。しかし、未払いの状態が長く続いてしまうと、実質的には期中減額と変わりなくなる。
 役員給与を未払い処理したなら、その理由、未払い給与の清算時期などを書面で示しておいたほうがいい。また社長の家族が役員になっているときは、家族役員の勤務状況と仕事内容がチェックされる。家族役員への給与額が適正だと主張できるようにしておきたい。
 ところで、税務調査というと「法人税の調査」ばかりに意識がいってしまうかもしれないが、消費税・源泉所得税・印紙税の調査もある。これらは、会社が赤字でも税額が発生するのが普通だ。特に消費税は、売上ミスが発覚すると、法人税と連動して修正になるケースが多いので気を付けたい。

投稿者 税理士法人早川・平会計 | 記事URL

2010年9月 3日 金曜日

Vol.0088号

<タックスニュース>

国際協調を口実に新税?  狙いは「航空券」課税――

 政府税制調査会は9月上旬にも、国際課税に関する小委員会を始動させる。国際連帯税の導入や移転価格税制の見直しが主な検討課題になる見通しだ。特に国際連帯税は、地球規模の問題への対策のひとつとして国際的に注目が集まっている。すでにフランスや韓国などでは、国際連帯税のひとつで国際航空券に課税する航空券連帯税が導入されている。
 これは、飛行機に乗ることができる豊かな人に課税し、貧しい人々に再分配する概念の税。欧州では、国際線のファーストクラス、ビジネスクラスに10~40ユーロ、エコノミークラスに1~4ユーロを課税している国もある。税収を賛同する国々が設立した国際組織に集め、途上国支援に充てている。
 岡田克也外相が国際連帯税に熱心で、外務省は来年度の税制改正要望に同税創設を提案する方向だ。国際連帯税創設を目指す超党派の議員連盟も設立されており、ねじれ国会でも自民党の協力が期待できる。民小委員会は当初「専門家の先生が検討するだけ」(財務省幹部)になりそうだが、平成22年度の税制改正大綱でも「国際連帯税の検討を早急に進める」としており、実現に向けて動き出そうとしている。

<タックスワンポイント>

企業の「ノーマイカーデー」  通勤手当税務で当局文書回答

 地球温暖化の一因ともされる温室効果ガスの排出抑制に向けた"エコ"な取り組みが日本全国で盛んになっている。企業が行う「ノーマイカーデー制度」もそのひとつ。毎月、一定の日をノーマイカーデーと設定し、当日は自動車を使った通勤から公共交通機関を使った通勤へと切り替えるというものだ。
 ノーマイカーデーの実施にあたって問題となるのが、通勤手当の取り扱い。通勤手当には、給与として課税されない「非課税限度額」が設けられているが、その金額は通勤形態により細かく区分されており、①自動車通勤の社員 ②自動車+公共交通機関で通勤する社員 ではそれぞれ金額が異なってくる。そのため、通常は自動車通勤している社員にノーマイカーデー専用の定期券を支給することで、通勤手当の区分が①②のいずれに該当するのか判断に迷ってしまいがちだ。
 これについては、仙台国税局がこのほど、①として取り扱うことを文書回答している。通勤手当の非課税限度額は、社員が「常例」とする通勤手段をもとに判断されるが、ノーマイカーデーは多くても月に数日程度なので「常例には当たらない」というわけだ。つまり、すでに非課税限度額相当の通勤手当を支給しており、それに加えてノーマイカーデー専用の定期券を支給すると、定期券相当額が給与となるので注意が必要だ。

投稿者 税理士法人早川・平会計 | 記事URL

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