タックスニュース

2010年10月29日 金曜日

Vol.0096号

<タックスニュース>

財務省が描く増税ストーリー  法人税引下げなら消費税は引上げ

 菅直人首相が検討を指示した「法人実効税率の引き下げ」が注目を集めている。経済産業省が要求する「法人税の5%引き下げ」で減収となる1兆5千億円程度の見合い財源を経産省は示しておらず、財務省は財源を明らかにするように求めた。
 さすがに首相指示をないがしろにできない財務省は「法人実効税率が高いのは、地方税である法人事業税と法人住民税が原因だ」(幹部)と発信。首相指示が、国税と地方税を合わせた「法人実効税率」になっていることがミソだ。
 財務省幹部は「地方の財源は、企業の業績で上下する税ではなく、安定財源であるべきだ」とも述べ、法人事業税と法人住民税を縮小・廃止して法人実効税率を引き下げて、地方への代替財源として、地方消費税の税率引き上げを示唆する。これは消費税全体の税率引き上げを前提とするもので、財務省のしたたかさが透けて見える。
 もっとも当の菅首相がぶれ始めた。「より投資的な投資に結びつくのなら、設備投資、人材育成、研究開発の減税も大きな政策課題だ」と、軌道修正を模索し始めている。法人税減税が尻すぼみになれば、経済界と経産省の口車にまんまと乗った菅首相の定見のなさがあらためて目立つだけだ。

<タックスワンポイント>

税務調査の意外な効果!?  社長が知らない不正経理も発覚

 会計検査院によると、警察本部などの不正経理が全国の7道府県警と管区学校で約1億4千万円に上ることが判明したというのだが、こうした不正経理は何も行政機関だけの問題ではない。企業の経理部門でも税務調査などをキッカケに不正の実態が明らかになることもある。
 そのため、少数ではあるものの、「税務調査に入ってほしい」という会社もあるほどだ。経営者サイドからすると、「怪しいと思っていても、社員を調べるというのはなかなかできない。こっちは経理については素人だけに、なかなか判断もつかない」(小売業者社長)という状況もあるわけだ。
 しかしこれが「2年に1度でも税務調査があれば、経理の実態がおのずと把握できる。また、経理担当者も調査があるとなれば、緊張感も保て、きちんとした処理をするはず。そう簡単に不正を行えないはず」(同)という。普通なら税務調査を嫌う経営者の方が多いが、この小売業者社長、経営管理の一部として税務調査をちゃっかり活用してしまおうというのだ。
 この社長のように、定期的な税務調査を望むのは珍しいが、当局サイドとしては、「税務調査の趣旨とは違う」と、困惑の声も聞かれる。

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2010年10月22日 金曜日

Vol.0095号

<タックスニュース>

「税と社会保障」調査会スタート  藤井元財務相が再び表舞台に――

 民主党「税と社会保障の抜本改革調査会」の初会合が10月13日に開催された。同調査会は、菅直人首相の方針「強い財政・強い経済・強い社会保障」を一体的に議論し、社会保障およびそれにかかわる税制についての基本的な考え方を取りまとめる。同調査会の会長を務めるのは、藤井裕久元財務相。会長代行に小沢鋭仁前環境相、事務局長に大串博志政策調査会副会長(前財務政務官)がそれぞれ就任し、政府側のオブザーバーとして峰崎直樹内閣官房参与が参加することとなった。
 藤井会長は冒頭のあいさつの中で「民主党が(税・社会保障について)どのような方向を向いているのかぼやけている。参院選や党代表選などでぼやけてしまったものを元に戻す」と話し、原点回帰を強く訴えたほか、この日出席した議員に対し「具体的な数字には一切触れないでいただきたい」と、強く念を押した。「数字に触れた結果が、この間の参院選」(藤井会長)と、数字が一人歩きすることを嫌ったようだ。
 ところで、党内にはすでに中野寛成議員が座長を務める税制改正PT(中野PT)があり、今回の調査会発足により、税制について議論する場が2つ存在することになった。藤井会長は、これら2つのすみ分けにも言及。同調査会は「中期的・長期的なテーマについて議論を行う場」として、消費税や納税者番号制度について「真っ向から議論していく」(同)。与野党協議に向けた民主党案を整備し、年内をめどに取りまとめを行う方針だ。

<タックスワンポイント>

生保二重課税で取り扱い変更  還付のつもりが逆に納付も!?

 生保特約年金の二重課税に係る最高裁判決を受けて当局ではこのほど、所得課税の取り扱い変更を発表したが、すべてのケースで税金が還付されるのではなく、二重課税の対象となっていても、むしろ納税になる可能性がある人がいるという。
 所得税の還付対象となるのは、①死亡保険金を年金形式で受給している人②学資保険の保険契約者の死亡にともない養育年金を受給している人③個人年金保険契約に基づく年金の受給権を相続した人――などで、源泉徴収された所得税が確定申告などで全額還付されていなければ、今回の判決により還付の対象となる。
 年金型の保険金は税務上、雑所得に該当し、原則申告の義務があるわけだが、保険金の所得をほかの所得と合算しても、所得税の累進税率区分が源泉税率と同じ10%ならば、保険金について確定申告してもしなくても、納付する所得税の総額は変わらない。
 しかし、本来の所得税の累進税率が5%以下の人ならば差額が還付されるし、反対に、20%以上の人なら差額について納付する必要があったということになる。つまり、保険金を合算したことで所得税の税率の区分が変われば、最終的な所得税額は大きく変わってくる。
 国税庁は、「元はといえば申告義務を果たしていなかったわけであり、原則として課税になるだろう」としているので、まずは、税務署に"電話で相談"――というのが、賢明かもしれない!?

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2010年10月15日 金曜日

Vol.0094号

<タックスニュース>

二重課税 10年還付は人気取り 事務サイド見切り発車

 年金形式で受け取る保険商品の「二重課税問題」で財務省と国税庁は、過大に徴収した所得税を還付する対象を、税法上の時効の対象となる5年を超えて過去10年分とする方針を発表した。今年7月6日の最高裁判決で、年金払い型生命保険への課税が「違法な二重課税」と認定され、野田佳彦財務相がその翌日、時効分の還付にも応じる方針を表明していた。
 この大臣方針が寝耳に水だったのは、主税局と国税庁の事務方だった。税務署に保管してある税務書類は過去7年分しかなく、どうやって成り済ましなどの不正請求を排除するかが検討課題に。結局、民法の不当利得の時効となる10年で区切ることで決着した。
 実際に還付される額は「せいぜい1年目で数万円程度」(財務省)で、還付額は年々階段状に減少していく。時効になっていない分の総額が60億~90億円で、時効分もほぼ同等の見通しだが、さかのぼるほど書類の保存状況も悪くなるので、「実際に手続きをする人は少ないのではないか」との見方も出ている。
 そもそも、野田財務相が時効分還付の方針を表明したのも、「7月11日の参院選直前でもあり、菅政権の人気取りに使ったのでは」との指摘もある。見切り発車のままで、大規模な還付手続きがスタートしようとしている。

<タックスワンポイント>

忘れていませんか? マイルの税金 社長が私的利用なら課税も

 航空機業界に低価格化の波が押し寄せている。マレーシアの格安航空会社(LCC)のエア・アジアはこのほど、今年12月から羽田―クアラルンプール間の就航を発表。運賃は、片道で大手航空会社の半額程度の1万~2万5千円に設定。来年7月末まではキャンペーン価格としてなんと5千円(別に空港税など3千円が必要)にする。また、こうした低価格化の流れを受け、国内最大手のANAもLCCの設立を発表。関西国際空港を拠点とし、平成23年度の下半期に運行を開始する予定だという。すでに関西の経済団体からは、ANAのLCC設立に賛成する声が多数上がっており、出張などで積極的に利用することを表明するなど、支援の動きも出てきている。
 海外の格安航空会社には、飛行機での移動距離に応じて「マイル」がたまる、いわゆる「マイレージサービス」を提供していないものも多いが、ANAが格安航空会社に参入するとなると通常のANA便や提携航空会社の便と同様にマイルが獲得できると考えられる。日ごろから出張などでマイルをためている人にとって朗報といえそうだ。
 ところで、「出張でためたマイルで家族旅行」といった話はよく耳にするが、企業のオーナー社長が、会社名義のカードでためたマイルを私的に利用する場合は注意。マイルに関する社内規定により税務上の取り扱いは変わってくるが、場合によっては「経済的な利益の供与」があったものとされる可能性もある。この場合、臨時的な役員給与として損金不算入である上、所得税まで課されてしまう。
 また、マイレージ機能付きのカードには、そのカードを使って各種料金を支払うことで、金額に応じてマイルが付与されるタイプのものも出回っている。そこで、社長が会社の飲み会などを企画し、社長個人のカードで支払いをしてマイルを荒稼ぎしているケースもある。この場合にも、付与されたマイルは役員給与になりそうなものだが、実際のところ、そのマイルにかかる源泉所得税を把握することは難しい。そのため当局では、付与されたポイントを金品などに交換した際の一時所得として申告しているかどうかチェックしているようだ。

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2010年10月 8日 金曜日

Vol.0093号

<タックスニュース>

税制PTが新メンバーで再始動  座長に中野寛成氏

 民主党政調に設置された税制改正プロジェクトチーム(PT)が、菅改造内閣の発足にともないメンバーを改め本格始動した。財務副大臣に起用された五十嵐文彦衆院議員に代わって、座長には自社さ連立政権で税制改正に携わった中野寛成元衆院副議長を起用。財務政務官に就任した尾立源幸参院議員の後の事務局長には、古本伸一郎前財務政務官が就き、党と政府が入れ替わるかたちになった。
 税制改正PTは週2~3回のペースで総会を開き、11月上旬までに主要な租税特別措置の改廃方針をまとめ、11月末には法人税率引き下げや所得税の控除見直しなどの議論をまとめて政府税調に提言する予定だ。併せて、地球温暖化対策税(環境税)を集中的に検討する小委員会も設けて、民主党が考える環境税のありようを政府税調に提言する。
 昨年9月の政権交代後、党税調が税制改正大綱をすべて決める自民党政権時代の「二重権力」の払拭を目指した鳩山政権は、民主党税調を廃止し、政府税調に機能を一元化して、平成22年度税制改正に臨んだ。その結果、政府税調は各省の副大臣が省の利害を代表して主張する場になり、議論は暗礁に乗り上げ、年末ぎりぎりに小沢一郎幹事長(当時)が党要望を突きつけて、政治的に難しい課題を決断できた。
 民主党内に再び「党税調」が発足したのは、不透明と批判された党要望のプロセスを「見える化」すると同時に、税に詳しい議員を養成する狙いがある。ただ、総会ではまだ深みのある議論には至っておらず、財務省内には「ちゃんと提言をまとめられるのか」と心配する声すら漏れ始めている。

<タックスワンポイント>

グループ法人税制いよいよ適用  寄付金は従来通りのケースも

 平成22年度税制改正の目玉「グループ法人税制」が10月1日以降の取引からいよいよ適用開始だ。とくに、対象の大前提となる「完全支配関係」についてしっかり確認しておきたい。
 完全支配関係とは、会社の発行済み株式の総数を100%保有している関係を指す。完全支配関係には、①一の者による当事者間の完全支配関係②一の者との間に当事者間の完全支配関係がある場合の法人相互の関係――がある。
 ①はシンプルで、Aが子会社Bを完全支配している場合のAB間の関係。②はAが完全支配するのがB社とC社など、兄弟会社がある場合のこと。完全支配の判定は発行済み株式などを100%保有しているかどうかであって、事業上のつながりがあるかは考慮されない。全く別の業種であっても、完全支配関係にあるならグループ法人税制が適用される。
 頂点となる「一の者」は個人・法人を問わない。個人が完全支配の会社を持っている場合、「一の者」は「1人」という意味ではない。頂点が個人のときは、親族などいわゆる同族関係者をまとめて「一の者」とされる。株主らの関係を明確に把握しておくことが必要だ。
 頂点が個人・法人の違いは、税務上にも影響する。たとえば、兄弟会社の間で寄付金のやりとりがあった場合、頂点が法人であればどちらにおいても益金・損金不算入。しかし頂点が個人だと、通常通り寄付した側は損金算入限度額を超えた金額を損金不算入、受け取った側は全額益金となる。

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2010年10月 1日 金曜日

Vol.0092号

<タックスニュース>

霞が関で早くも"木枯らし1号"  原因は首相肝煎りの雇用税制

 菅直人首相が政府税調に対して出した、雇用促進税制の検討を求める指示が官僚の間で波紋を広げている。その一節は官邸が主導して盛り込んだもので、どこかの官庁が要望したわけではなかったからだ。
 雇用促進税制は、雇用の増加に応じて企業の税負担を軽減する措置。官邸側は仙谷由人官房長官が主導して、菅首相が言う「雇用、雇用、雇用」を政策に落とし込もうとした。新たな減税となるため、官邸の動きを察した財務省は直前に猛反発したが押し切られ、財務省幹部は「青天のへきれき」と吐き捨てた。
 経産省も決して積極的な姿勢ではない。経産省は法人税率の5%引き下げを年末に向けての税制改正作業の「大玉」としたいため、余計なモノは抱えたくないからだ。厚生労働省にしてみれば、すでに同じような趣旨の補助金を実施しており、政策が重複してしまうので戸惑いがある。
 政府税調に雇用促進税制を検討するプロジェクトチームが設置されたとしても、このままでは推進役が不在になる。首相指示には「措置を平成23年度税制改正で講ずる」とあり、同じ指示でも「同23年度予算編成・税制改正作業の中で検討して結論を得る」となっている法人税率引き下げよりも期限が前。一から検討するには残された時間は少ない。
 もっとも、新成長戦略実現会議そのものが、党代表選を控えていた菅首相がリーダーシップを発揮する姿をアピールするための場だった、との見方が強く、「2回目はないのでは」との冷めた声も官僚から聞こえる。狙いとは逆に、菅首相の霞が関での指導力の低さを浮き彫りにしてしまった。

<タックスワンポイント>

リコールで交換や返金  補償で代替えならば圧縮記帳

 ホンダは先ごろ、駐車ブレーキに不具合があるとして、軽自動車「ライフ」のリコール(回収・無償修理)を国土交通省に届け出た。対象車は平成20年10月~同21年9月製造の8万1261台。自動車がリコール対象となった場合、メーカーが無償修理を行うが、自動車に限らず、リコールの対象商品は一般的には交換や返金などの手段で補償を受けることになる。
 このような場合、補償を受けた側で、利益として認識する必要があるのかどうか気になるところ。無償修理については、資産の増加とする必要はなく、税務上の処理は発生しない。これが代替資産との交換となった場合、新規取得価額をそのまま計上するわけではなく、法人税法47条2項の規定により圧縮記帳することになる。
 一方、返品・返金となった場合は、返金と同時に新規資産を取得すれば同法同条1項により圧縮記帳が可能だが、取得しなかった場合は雑収入として計上する必要がある。さらに、商品を使い続けることはできるが瑕疵(かし)があるなどで損害賠償金を得た場合、損害賠償金は雑収入として処理することになる。

投稿者 税理士法人早川・平会計 | 記事URL

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