タックスニュース

2011年6月24日 金曜日

Vol.0128号

<タックスニュース>

復興財源は臨時増税で  所得税率を10年間1割上乗せ

 10兆円超ともいわれる東日本大震災の復興財源について、所得税の臨時増税での対応を求める声が政府内で高まっている。現在の税率に1割程度を上乗せし、10年ほどかけて財源を捻出する案が有力だ。
 「基幹税を中心に、政府において多角的に検討する」。政府の復興構想会議が6月11日にまとめた提言の素案は、復興財源に関し所得税、法人税、消費税の基幹3税で対応すべきだとの姿勢を明確にした。国の税収の約8割は基幹3税で支えられており、たばこ税などその他の税源を復興財源に充てようとすれば、必要な増税幅が大きくなり過ぎるためだ。しかし、直後から政府内で、復興財源から消費税を排除する動きが強まっている。枝野幸男官房長官はNHKの番組で、「消費税は社会保障の財源で議論されている。その話と混乱させることはよくない」と表明。他の閣僚からも同様の発言が相次ぎ、財源候補は事実上、所得、法人の2税に限定されたといえるようだ。
 政府は消費税を増大する社会保障の主要財源と位置付けており、2015年度までに税率を10%に引き上げる方針を固めている。当初は復興財源として2、3%程度の消費税増税を実施し、その後、社会保障目的に使途を変更する「スイッチ論」も検討されたが、「被災者にも増税負担が及ぶ消費税増税は納得できない」との激しい批判にさらされた。その余波で、本丸の社会保障財源としての消費税率引き上げまで暗雲が立ちこめる事態となっている。復興財源からの「消費税隠し」は、復興財源と社会保障財源確保を切り分けることで、増税に対する世論の理解形成を狙う思惑があるが、震災で打撃を受けた国民に重い負担を強いることになるだけに、どちらも実現は容易ではないのが実情だ。

<タックスワンポイント>

風評被害で売れない...... 損害、損失への税務救済は?

 放射能漏れ事故を起こした福島第一原発。周辺エリアの農作物や沿岸部の小魚から国の基準値を超える放射性物質が検出されたことで、その後、「安全性に問題はない」とされた生鮮食品までもが"風評被害"によって売れない状況が起きている。
 政府が4月27日に施行した震災特例法では個人所得や法人所得、納税手続きに関する税務面からの救済措置が設けられたが、国税庁が同法施行を受けてまとめた『東日本大震災により損害を受けた場合の所得税の取り扱い』と題したリリースの中で「事業所得等の取り扱い・農業所得関係」とする項目を設けて、風評被害に対する税務上の救済について見解を示している。
 リリースでは、「風評被害の震災特例法上の取り扱いについては、損失の実態や原子力損害賠償法の補償の範囲、指針に関する今後の議論を踏まえ、その結論と整合的に取り扱うこととなるものと考えている」。そして、「原子力損害賠償法の補償の対象とされるなど、地震や津波による事業用資産の滅失と同様の損失と認められるものについては、震災特例法における被災事業用資産の必要経費算入に関する特例等や純損失の繰越控除の特例などが適用される」と震災特例法の適用の可能性を認めている。
 国税庁の担当者は、「原子力損害賠償紛争審査会で風評被害にあった農水産物の損害賠償が議論されているところなので、一般論で風評被害と震災特例法の適用状況はコメントしにくいが、原子力損害賠償法で補償地域の範囲、賠償の範囲が明らかになり次第、柔軟に対応していきたい」とコメント。つまり、誰も彼もが風評被害を合い言葉に震災特例法の特例が受けられるということではなく、原子力損害賠償法上の補償対象が一定の適用ラインになると考えてよさそうだ。

投稿者 税理士法人早川・平会計 | 記事URL

2011年6月17日 金曜日

Vol.0127号

<タックスニュース>

税調は"増税"論議一色  消費税に続き所得、相続税増税

 政府税制調査会で、税と社会保障の一体改革に伴う増税議論が本格的にスタートした。今月20日をめどとする政府・与党の成案策定に向け、消費税率の10%への引き上げに加え、所得税や相続税増税も検討する。ただ、与党内の反発は根強い上、早期退陣論が拡大する菅政権の求心力低下も重なり、協議は難航が必至。今後本格化する東日本大震災の復興財源を賄う増税議論を優先し、税制抜本改革の詳細な中身の議論は今秋以後に持ち越されそうだ。
 政府の集中検討会議が2日に発表した一体改革の原案では、「2015年度までの消費税率の段階的な引き上げ」が盛り込まれ、税調もこの方針に沿う形で意見を集約する。さらに、消費増税に伴い低所得者の負担感が増す「逆進性」を緩和し、税制による所得再分配機能を強化するため、▽所得税の最高税率の引き上げ▽給付付き税額控除の導入▽相続税の課税ベースの強化―などを検討し、2011年度中の法改正につなげる方針だ。
 しかし、与党内では「社会保障改革よりも増税論議が先になっている」との反発が根強い。成案は、政府・与党幹部で構成する「成案決定会合」と民主党内の調査会の「三頭立て」で議論されるが、民主党内の調査会では、「財務省の数字合わせ」「これで選挙に勝てるのか」「菅首相が辞任するのだから、議論を休止した方がいい」などの不満も相次いだ。税調でも消費増税への慎重な意見が目立ってきた。さらに、消費増税分の国と地方の配分を巡っても、財務省と総務省で利害が錯綜している。
 このため、消費税の段階的な引き上げ幅や増税時期すら決められず、「成案は増税の大まかな方向性を示す程度」(財務省幹部)にとどまりそう。税制抜本改革の実現の道のりは遠い。

<タックスワンポイント>

国税庁 平成22年分の確定申告状況  贈与税が大幅に増加

 国税庁は、平成22年分の所得税、消費税および贈与税の確定申告状況について公表した。23年3月末日時点の計数で、東日本大震災で国税の申告・納付などの期限が延長されている5県(青森・岩手・宮城・福島・茨城)の申告事績も含めて取りまとめている。
 所得税の確定申告書を提出した人は2315万人で、21年分より52万4千人減少し、昨年に引き続き2年連続の減少となった。申告納税額のあるもの(納税人員)は702万1千人(前年比2・2%減)、所得金額は34兆6958億円(同2・0%減)、申告納税額は2兆2431億円(同1・3%減)と、いずれも昨年より減少している。
 還付申告を行った人員については1267万3千人となり、21年分より32万人減少した。これは16年分以来の減少となっている。個人事業者の消費税については、申告件数が131万9千件、納税申告額は3862億円となり、いずれも5年連続の減少となった。
 贈与税では、暦年課税を適用した申告人員は34万5千人で、このうち納税人員は24万人、申告納税額が1109億円となった。これを21年分と比較すると、申告人員が19・4%、納税人員が6・4%、申告納税額は35・8%と、それぞれ大幅に増加している。これは昨年、相続時精算課税制度の特別控除につき1千万円の上乗せが廃止された一方で、住宅取得等資金の非課税額が1500万円まで拡大されたことが要因の一つとみられている。

投稿者 税理士法人早川・平会計 | 記事URL

2011年6月10日 金曜日

Vol.0126号

<タックスニュース>

消費税「2015年度までに10%」  与謝野氏"先行"に反発も

 政府が増大する社会保障の「主要財源」と位置づける消費税率の引き上げをめぐり、政府・与党内の温度差が際だってきた。
 増税派の急先鋒は、税と社会保障の一体改革を取り仕切る与謝野馨経済財政担当相。「2015年度までに税率10%」を目指し、政府の集中検討会議を拠点に増税の地ならしにまい進する。5月30日には、内閣府と財務省を通じ消費税に関する報告書を公表。消費税増税による景気への悪影響を否定し、低所得者ほど増税の負担が重くなる「逆進性」の問題にも「生涯所得で見れば、小さくなる」と反論するなど、増税に向けた強い意欲をにじませた。
 「自民党政権時代から長く税制に関わり、消費増税の難しさを身に染みて知る与謝野氏には、この機会を逃せば次にいつ増税のチャンスがまわってくるか分からないという危機感がある」。財務省関係者はこう解説する。しかし「消費税アレルギー」が根強い民主党内では、「外様」である与謝野氏の突出に反発が広がっている。
 「あまりにシナリオができすぎている」。5月31日開かれた民主党の「社会保障と税の抜本改革調査会」では冒頭から消費増税の議論が先行する現状に不満の声が相次いだ。調査会長の仙谷由人官房副長官は「どこかで安定的財源を作らなければならない」と財政問題への配慮を説き、火消しにまわったが、「衣の下から鎧が見える人も確かにいる」と与謝野氏への皮肉も忘れなかった。
 政府・与党は6月中の一体改革案取りまとめに向け、増税論議も本格化させる。しかし、与党幹部の一人は党内の合意を取り付けるのは容易ではないと警告する。

<タックスワンポイント>

最高裁が源泉徴収で注目見解  強制執行からの「天引き」NG

 最高裁が源泉徴収義務について興味深い判決を下している(平成23年3月22日、田原睦夫裁判長)。内容は、勤めていた会社に"不当解雇"されたとする元従業員に対して、裁判所の強制執行によって支払われた賃金について源泉徴収義務の有無が争われたものだ。
 この事件で会社は、強制執行の後、税務当局から支払った賃金に係る源泉所得税の徴収を受けており、徴収された税額に相当する部分を元従業員に対して求償した。しかし、元従業員は強制執行による支払いについては、所得税法上、源泉徴収義務を規定していない、つまり「会社側が勝手に納税したものだ」として支払いを拒否していた。
 最高裁は、「( 強制執行による賃金の支払いによって会社の)支払債務は消滅するのであるから、給与等の支払いに当たると解するのが相当である」として実質的に給与と同じであると判断。その上で、所得税法の規定で給与等の支払いが任意であろうと、強制執行によるものであろうと区別はしていないことから、「源泉徴収義務を負う」と結論付けている。
 また、裁判長の補足意見として強制執行手続きに特有の性質に触れ、「執行債務者(会社)が徴収すべき源泉所得税に係る手続きは予定されていないから(中略)、給与等の債権者(元従業員)が民事執行法により弁済を受ける場合には、源泉徴収されるべき所得税相当額をも含めて強制執行し、源泉徴収義務者は強制執行により支払った給与等につき源泉徴収すべき所得税を納付した上で所得税法222条に基づき求償する」と納税手続きの流れを分析している。

投稿者 税理士法人早川・平会計 | 記事URL

2011年6月 3日 金曜日

Vol.0125号

<タックスニュース>

2次補正は1~2兆円の小規模案  「政局優先」と冷ややかな声も

 2011年度第2次補正予算をめぐる与野党の駆け引きが激しさを増している。政府・与党が6月22日の会期末で国会を閉じる方針を示したのに対し、野党側は「2次補正を速やかに今国会に提出すべきだ」と強く反発。菅直人内閣の不信任決議案提出も辞さない構えだ。政府・与党内には、1次補正で積み残した復旧事業を盛り込んだ小規模補正を提出する案も浮上しているが、野党の理解を得られる見通しは立っていない。
 政府は5月2日成立した1次補正予算で、がれき撤去や仮設住宅設置などの復旧事業を盛り込み、予算規模は阪神大震災後最初の補正予算の4倍に達した。「当面必要な復旧予算は網羅した」(財務省幹部)との立場で、本格的な復興対策を盛り込んだ2次補正は、政府の復興構想会議による青写真が出された後の夏以降に編成する方針。
 このため政府・与党は会期通り6月に国会を閉め、2次補正予算案を編成後の8~9月ごろに臨時国会を開く日程を描いている。だが、野党は6月末で閉会した場合、福島第1原発の対応や復旧・復興対策について政府を追及する場を失うことを懸念。2次補正を次期国会に先送りすることに照準を絞り、攻勢を強めている。
 これに対抗するため与党内で浮上したのが小規模補正予算で、1~2兆円程度の事業を盛り込み、野党の批判をかわす狙いだが、野党は「不信任は政権の総合評価」(山口那津男公明党代表)として不信任決議案を提出する構えを崩していない。財務省内には「野党取り込みの成算も無いのに、無駄玉を撃ってもしょうがない」と政局優先の小規模補正に疑問の声も出ている。

<タックスワンポイント>

当局取れるところからガッツリ!  狙われる国際間の高額取引

 海運大手の「川崎汽船」(兵庫・神戸市)が海外の租税回避地(タックスヘイブン)を利用した所得隠しを行ったとして、大阪国税局から約64億円の申告漏れを指摘されていたことが分かった。追徴税額は重加算税を含め約19億円に上るとみられる。関係者によると、パナマの同社子会社が発注した船舶4隻に係る契約額について、法人所得を不当に圧縮するために水増しされたものと判断されたという。
 原則として国内取引にのみ課税が発生する消費税についても課税強化の動きが見られる。アメリカを中心に開催されている自動車レース『インディレーシングリーグ』に参戦するためのチーム運営・広告マネジメントなどを行う東京・港区の事業者が、管轄の麻布税務署からスポンサーとの契約金について消費税の課税処分を受けている。
 消費税は国内取引と外国貨物の輸入取引を課税対象としており、国外で行われる取引は非課税取引とされている。このケースでは、事業者が、「スポンサー契約に係る役務提供は自動車レースの開催地である海外で行われていることから、消費税の課税対象となる国内取引には当たらない」として非課税取引(不課税取引)として処理していたが、当局は、「国内での事業との区別がはっきりしない」などとして約51億円の申告所得にかかる消費税について指摘している。事業者は処分を不服として東京地裁に提訴したが、昨年当局の処分を適法とする判断が示され、事業者の訴えは棄却されている。
 法人税収は伸び悩む中、当局としては「取れるところから取る」、あるいは「取りやすいところから取る」というスタンスで"単価"の大きい国際取引に対する課税を強化することは当然の流れだろう。

投稿者 税理士法人早川・平会計 | 記事URL

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