タックスニュース

2011年7月29日 金曜日

Vol.0133号

<タックスニュース>

"復興増税"8月以降に具体案  所得、法人の増税が有力

 東日本大震災の復興財源確保に向けた関係閣僚会議が開かれ、復旧・復興費用を賄う政府の増税議論が本格的にスタートした。ただ、肝心の必要事業費の算定が遅れているほか、税目を巡る閣僚内の議論も迷走気味で、具体的な増税幅などが決まるのは8月以降にずれ込みそうだ。
 政府は使途を復興に限定した復興債を発行し、財源を調達する方針。復興構想会議は、償還財源に所得税、消費税、法人税の基幹税を中心とした増税を議論するよう提言した。政府内では、消費税は被災者に負担がかかりやすく、「社会保障(の財源)で議論されたので難しい」(平野達男復興担当相)と、所得税と法人税の増税が有力視されている。
 所得税を1割増税する「定率増税」を実施し、2011年度税制改正法案に盛り込んだ法人税減税を凍結すれば、合わせて年2兆円程度の調達が可能だ。ただ、復旧・復興費用の算定はいまだ難航。15日の初会合では、今後5年間に必要な復旧費は10~12兆円との仮試算が示された模様だが、復興費用は「阪神大震災を参考にすると、復旧費と同規模」(政府関係者)との言及にとどまった。
 また税目をめぐって、たばこ税や酒税の検討を求める与謝野馨経済財政担当相に対して、自身も愛煙家の野田佳彦財務相は「税制を通じた『おやじ狩り』」と反発。片山善博総務相は、増税先行の議論自体を牽制するなど、閣僚内の意見対立も目立つ。
 平野復興相は、7月末にまとめる復興基本方針は「必要事業費と復興債の償還期間を示す程度」。それでも財務省幹部は「この2つが決まれば議論は大分整理される。所得税の1割増税は重すぎ、法人増税は3年が限度。消費税もまだ消えていない」と話しており、引き続き議論の行方が注目を集めそうだ。

<タックスワンポイント>

総務省が「地方税制度研究会」発足  24年度改正を視野に

 昨年12月に取りまとめられた平成23年度税制改正大綱では、地方税制度の在り方について、「自主的な判断と、執行の責任を拡大する方向で抜本的に改革をしていく」と盛り込まれている。これを踏まえ総務省は6月29日、地方税制度に係る諸課題を検討する「地域の自主性・自立性を高める地方税制度研究会」(座長=碓井光明・明治大学法科大学院法務研究科教授)を発足し、第1回会合を開催した。
 初会合には片山善博総務相も出席。「一つ一つの自治体が課税団体として、税というものを単に歳入調達という観点ではなく、地域経営の政策手段として考える必要がある。地方税を今後の地方分権改革の中で捉え直して見ていきたい」と語った。
 研究会のテーマは、自治の原点である「税」について、地域住民が自ら決定し、そして自らが責任を持てる地方税制度の実現に向けて検討するというもの。現在の地方税法などで定められている制限税率といったさまざまな制約を取り除いて自治体が自主的に判断して条例で決定できる仕組み作り、そして自治体が課税にあたっての執行責任について議論する。
 主な論点は、①法定任意軽減措置制度(仮称)の創設、②法定税の法定任意税化、法定外税の検討、③制限税率の見直し、④標準税率などの選択自由拡大、⑤消費税・地方消費税の賦課徴収に係る自治体の役割拡大――。研究会は今後、月1回のペースで開催。10月までに論点整理を行った上で報告書を策定する方針で、早ければ24年度税制改正に盛り込みたい考えだ。

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2011年7月22日 金曜日

Vol.0132号

<タックスニュース>

酒税、たばこ税の引き上げ構想  基幹税増税を圧縮する狙い

 総額10兆円超とされる東日本大震災の復興財源に、酒税やたばこ税の引き上げ分を充てる案が浮上している。旗振り役は与謝野馨経済財政担当相だ。7月8日の閣議後会見で「基幹税に偏ると非常に痛税感がある。他の税源を検討してはどうか」、同12日には「広く、薄くいろいろな税から少しずつの拠出をお願いするという形がとれないか」と述べ、基幹税以外の増税に意欲を示した。
 最有力候補とみられるのが、酒税の引き上げだ。2010年度税収は約1・4兆円ながら、ビールに比べ、味がほとんど変わらない発泡酒や第3のビールは低い税率にとどまっており「増税余地が大きい」(政府関係者)。たばこ税も昨年10月に1本当たり3・5円の引き上げに踏み切ったばかりとはいえ、欧米に比べれば税率は依然低く、増税の有力候補。政府内では、通信会社が国に支払う電波利用料の引き上げを模索する動きも出ている。
 ただ、いずれも税収や収入規模は小さく、「償還期間を10年に設定しても、最低年1兆円の財源が必要」(財務省幹部)とされる復興費用にはとても足りない。結局は所得税、法人税、消費税の「基幹3税」の増税を柱にする以外ないのが現状だ。
 それでも与謝野氏らが財源探しに躍起になるのは、酒、たばこなど嗜好品の増税や、電波利用料など国民が負担感を感じづらい財源を可能な限りかき集めることで、増税感が直接伝わりやすい基幹税の増税幅を圧縮する狙いがあるためだ。片山善博総務相が「増税が決まらなければ、3次補正を組まないなんてバカげた考えはやめるべきだ」と主張するなど、増税への抵抗感が政府内ですら強い中、必要な財源を確保するには負担感を軽減する仕掛けをいかに組み込むかがポイントになりそうだ。

<タックスワンポイント>

海外進出に潜む税務リスク  移転価格、外国子会社の事業承継

 海外進出には大きなビジネスチャンスが埋まっている半面、税務上のリスクも少なからずある。注意しておきたい代表的な税制を取り上げておきたい。海外進出に伴う最大の税務リスクとしては、第一に「移転価格税制」の適用がある。移転価格税制は、海外の関連企業との取引において第三者とは異なる安い価格で製品や部品、原材料を取引することで、海外の関連企業に所得移転することを防止するための制度だ。
 しかしながら、独立した企業間での取引であるために価格をどう評価するのか、明確な基準がないことで税務当局と企業との間で見解の相違が生じ、多額の申告もれを指摘されるケースが多い。特に、技術提供やブランドの使用権といった無形資産は価額算定が難しい面がある。例年、移転価格税制をめぐる申告もれが指摘されている。国税庁によると、移転価格税制にかかる申告もれは平成17事務年度の2836億円をピークに減少してはいるものの、同21事務年度にも687億円と依然として多額の申告もれが発生している。
そして、外国子会社の事業承継についても触れておきたい。事業承継を行なう際にその外国子会社の株式評価の方法をめぐるミスが多発しているのだ。外国子会社の株式の評価方法は、「国外財産の価額についても、この通達に定める評価方法により評価することに留意する」(財産評価基本通達5 -2)とされている。具体的には、課税発生時点での現地の価額を円換算し、評価額を算出することになる。ただし、類似業種比準方式は一般的に国内での評価に準拠しているもので、当局は「外国会社の場合、純資産価額方式で評価すると考えられる」としている。

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2011年7月15日 金曜日

Vol.0131号

<タックスニュース>

迷走する「税と社会保障」改革  あいまいに"正式"決定

 政府・与党社会保障改革検討本部は6月30日、税と社会保障の一体改革案を正式決定した。菅首相は「まさに歴史的だ」と自賛したが、増税に慎重な与党の要求に押され、内容の大幅な後退を迫られたのが実態だ。
 政府が6月17日に示した改革原案のメッセージは明確だった。社会保障の安定財源を確保するため「2015年度までに消費税率を10%まで引き上げる」と明記し、「経済状況の好転」を「前提」に今年度中に必要な法制上の措置を講じる方針を打ち出した。
 しかし、増税色を前面に出す内容に民主党内の調整が難航。窮した仙谷由人代表代行ら党幹部は、消費増税部分について「2010年代半ばごろまでに、おおむね10%」と時期、税率の表現をあいまいにするよう要求。経済状況の好転も「前提」ではなく「条件」とし、具体的な数値目標の明記を求めた。
 一体改革の旗振り役である与謝野馨経済財政担当相や野田佳彦財務相は強い難色を示したものの、政府がタイムリミットに設定した同30日になっても党側の強硬姿勢を崩せず、同日夕の検討本部開催直前、修正要求のほとんどを受け入れる「全面撤退」を強いられた。
 最終的に、消費増税など政府が「改革の肝」(与謝野氏)としてきた核心部分は軒並み後退。さらに連立を組む国民新党が最後まで増税反対の姿勢を貫いたため、閣議決定を断念し、拘束力の弱い閣議了解で済ませるおまけまでついた。「首相はすでに一体改革への関心を失っており、検討本部決定にこぎつけるのがやっとだった。内容は後退したが、改革が途中で頓挫するよりはよっぽどいい」。迷走のすえの決着に、政府関係者は疲れ切った表情でこう語った。

<タックスワンポイント>

生保特約年金の二重課税  過去10年分まで遡及救済

 国税庁は6月30日、生保特約年金にかかる所得税の二重課税問題について過去10年分、平成12年分以後まで遡及して特別還付を実施することを明らかにした。請求期間は平成24年6月29日まで。
 昨年7月、最高裁の「遺族が年金として受給する生命保険金のうち、相続税の課税対象となった部分は所得税の課税対象にならない」とする判決を受けて、同庁はこれまで過去5年以内に限り所得税を還付する対応を取ってきた。これは、税金の還付は国税通則法で国に対する過誤納金の請求権の消滅時効が原則5年以内と規定されているためだ(同74条)。
 しかし、年金形式という保険金の性質上、10数年といった長期間にわたって年金の支払いを受けていた納税者も多く、最高裁判決で二重課税が認められたものの、税法の規定が救済の壁となって判決に実効性を持たせることが難しい実情となっている。
 そこで特別立法といった緊急措置で救済するのか、当局の対応が注目されていたところだったが、今回の特別還付制度によって救済範囲が拡大されたことになる。

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2011年7月 8日 金曜日

Vol.0130号

<タックスニュース>

ムーディーズが警告  10年後"日本の信用力"は低下

 菅首相の退任をめぐる政局の混乱が、日本の財政に対する信用力に深刻な影響を及ぼしはじめた。「政府の内紛による長期財政計画の遅れで、日本の政策は迷走」。米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは6月27日、政府・与党が進める「税と社会保障の一体改革」の決定が遅れていることを懸念するレポートを公表した。
 レポートでは、決定の遅延は「菅首相の辞任時期をめぐる与党内の内紛が主因」と指摘。効果的な財政再建計画を打ち出さなければ、今後10年で政府の債務負担がさらに増大し「政府の信用力にとってマイナスになる」と警告した。
 ムーディーズは5月31日、東日本大震災の発生で日本財政に対するリスクが高まったとして、日本国債の格付けを「Aa2」(21段階のうち上から3番目の水準)から格下げ方向で見直すと表明。実際に格下げすべきかどうか今夏にも判断する予定だ。他の格付け会社も同様に日本財政の先行きに懸念を深めており、その唯一の処方せんとも言える一体改革の行方を注視してきた。
 しかし、退陣表明で菅政権の求心力は失墜し、首相が繰り返し指示した6月20日の決定はあっさり見送られた。民主党執行部も党内の不満を抑えられず、党の調査会を開いては議論が紛糾するドタバタ劇を展開し市場の失望を買った。「一体改革が決定しても、ねじれ国会の下では実効性を伴わず、国債の格下げは避けられない」(アナリスト)。市場ではこうした悲観的な見方が支配的になりつつある。政府・与党の迷走のつけは、国債格下げによる長期金利の上昇という形で国民生活を直撃しそうだ。

<タックスワンポイント>

会社の借金返済で自宅を売却......保証債務履行で非課税にするポイント

 経営者が自社の連帯保証人として自宅や土地を担保提供しているケースは非常に多い。会社の借金返済が滞った場合は当然、保証人である経営者に督促が及ぶわけだが、保証人がこの債務返済のために自宅などを処分する、いわゆる「保証債務履行」について、売却による譲渡所得を非課税にする特例措置がある。
 この特例の適用で欠かせないポイントは大きく3つある。ひとつは、保証債務履行としての体裁を保っていること。保証債務履行とは銀行などの債権者が、借金した本人ではなく保証人に対して督促し、保証人が肩代わりして弁済するものだ。
 そのため、経営者が自社の保証人になっているケースを考えてみると、まず手持ちの資金、預貯金から債務の弁済を履行して、その後自宅を売却した場合は保証債務履行のための譲渡とは認められない。
 また、保証履行債務のために自宅を売却したが、例えば銀行の要望に応えるために自宅の譲渡代金で一度、定期預金を開設して一定期間運用してから債務の弁済に充てたような場合もNG。これでは保証債務履行のための自宅売却ではなく、預金資産を形成するための譲渡になってしまっているからだ。
 2点目は、債務が「保証債務」であること。元から保証人として担保提供していたのならば問題はないが、会社の急激な業績悪化に伴って倒産寸前の状態で保証したものならば、それは事実上の"贈与"といっていい。税務上は保証債務とはみなされないのだ。
 そして最後に、保証人として本来の債務者である会社に求償できない状況にあることが必要だ。連帯保証人が2人いた場合は、一人で全額を弁済しても、その2分の1までが特例の対象額となるのだ。

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2011年7月 1日 金曜日

Vol.0129号

<タックスニュース>

「大連立」は早くも頓挫?  民主"内ゲバ"に自民"嫌悪感"

 菅直人首相の退陣をめぐる民主党のドタバタ劇に、一時は大連立まで取りざたされた自民党が急速に距離を置き始めている。
 看板政策である税と社会保障の一体改革についても同様で、政府は4月に民主、自民、公明が結んだ3党合意に盛り込んだ「政府・与党は実行可能な案を可及的すみやかに、かつ明確に示す」との規定を楯に、早急に与野党協議に入りたい意向だが、自民党幹部は「民主党内で消費増税に対する反発がいかに根強いかが満天下に明らかにされた。『政府・与党決定』と言われても額面通りには受け取れない」と冷ややかで、協議開始に応じる気配はない。
 菅首相は2011年度第2次補正予算案や、赤字国債発行の前提となる特例公債法案の成立を待って今夏にも退陣する見通しだが、次期首相の選任をめぐり、党内の混乱がさらに深まる可能性もあり、「泥船には乗れない」(自民党幹部)との思惑があるようだ。
 ただ、国の財政危機が深刻化する中、消費増税は避けては通れないとの見方は各党に共通しており、自民党も当面10%への税率引き上げを目指す方針を打ち出している。次期衆院選で自民党が再び政権に復帰すれば、菅政権と同じく消費増税の判断を迫られるのは確実で、自民党内の一部からは「国民の反発が強い増税案は民主党政権にまとめさせた方が得策だ」との声も出ている。
 菅首相は「歴代の自民党政権が先送りしてきた消費増税を自らの手で打ち出すことで、実行力と責任感をアピールし、政権浮揚を図る狙いがあった」(政務三役)とされる。増税への協力が自民党にとってプラスになるか、マイナスになるか、国民の反応をにらみながらの神経戦が続きそうだ。

<タックスワンポイント>

審査請求 「一部取消」が大幅増  相続事案の発生目立つ

 国税庁は平成22年度の異議申立て、審査請求の発生状況と当局による処理件数を発表した。
 納税者が国税当局の処分に不服な場合、所轄税務署長に対して「異議申立て」を行うことができる。そして、異議申立てに対する当局の判断に納得が行かなければ、さらに国税不服審判所へ「審査請求」を行い、その裁決に納得がいかない場合は税務訴訟を提起する...というのが国税に関連する「納税者救済」の一連の流れである。
 発表によると、異議申立ての発生件数は5103件で、前年度より308件増加した。税目別では、法人税事案が唯一減少したものの、その他の税目では増加。特に消費税事案は1762件と、前年度より176件も増加している。
 一方、異議申立ての処理件数は4746件。このうち納税者の主張が全面的に認められた「全部取消」は77件で前年度より11件の増加、一部の主張が認められた「一部取消」は399件で126件減少している。また、審査請求の発生件数は3084件で、前年度より170件の減少。相続税事案が前年度比127・9%と大きく増加したものの、それ以外の税目では軒並み減少となった。処理件数は3717件で、前年に比べて1124件の増加。
 これは、平成21年度に、輸入取引にかかる消費税の事案が多く発生し、その処理が年度をまたいだことによるもの。輸入取引に関する審査請求は「貨物ごと」に行われるため、必然的に処理件数が増加したというわけだ。なお、審判所が処理した事案のうち「全部取消」は153件で前年(143件)に比べ微増、「一部取消」は326件で前年(241件)より大幅に増加している。

投稿者 税理士法人早川・平会計 | 記事URL

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