タックスニュース

2018年5月25日 金曜日

Vol.0450

<タックスニュース>

悪用防げぬ成年後見制度  意に沿わぬ財産移動も

 認知症の男性の成年後見を務めていたNPO法人が、男性の死後に自宅の所有権を取得していたことを、神戸新聞が報じた。後見人が後見の対象である本人から財産を受け取ることは違法ではないが、認知症で衰えた判断能力につけ込んだ疑念は否定できない。後見人による財産の横領といった不正事例は近年増え続けていて、信頼できるプロフェッショナルに財産の管理を委ねるという制度の理念そのものが揺らぎつつある。
 成年後見を受けていた男性は、自身の判断能力が衰えてきた2014年夏ごろに、ケアマネージャーへの相談を通じて神戸家裁に制度の利用を申し立てた。後見の種類は本人の判断能力によって後見、保佐、補助と分かれるが、神戸市のNPO法人はこのうち男性の補助人に選任され、以降家裁の認める代理権の範囲内で男性の後見を務めてきたという。
 しかし男性が17年2月になくなると、その半年後の8月に男性の自宅と土地の所有権がNPO法人に移転した。神戸新聞によれば、16年11月に法人の理事長が男性の入院先を訪問し、公証人とともに公正証書遺言を作成したという。所有権の移転は男性自身が作成した公正証書遺言によるものだが、判断能力の衰えた本人から後見の立場にある人や法人が財産を受け取ることに対して、「立場の悪用」として批判する声も出ているようだ。
 介護や財産管理を行ってくれた相手に対して遺産を相続させるというのは現実にあり得る話で、成年後見人である個人や法人に対して財産を譲ることは違法ではない。しかし判断能力の衰えた本人を支援するという成年後見制度の性質上、後見人が自らの利益になるよう本人を誘導するリスクは否定できないところだ。
 認知症患者を誘導して後見人が自分の思うように財産を使うというケースは増えているようで、大阪家裁は今年3月、後見人に利用者本人の意思を尊重するよう求めるガイドラインを策定した。財産を動かす上では本人の希望や価値観を最大限考慮し、また本人の意思決定を助けるあらゆる方法が尽くされていないと意思決定ができないとはみなさないとする内容で、いわば本人の判断能力の衰えを理由に財産を勝手に動かす後見人をけん制するものだ。
 また高齢社会会に伴い成年後見制度の利用者が増え続けるなかで、後見人の横領や不正も増えつつある。今年4月には公益社団法人社会福祉士会に所属する個人が、成年後見を担当していた女性の遺産を受け取ったとして戒告処分を受けている。家裁に選任されて成年後見人の不正を監視する「後見監督人」の数も年々増え続けているが、対応が後手に回っている印象は否めない。
 今後、人口の10人に1人が認知症患者になるという「大認知症時代」がやってくるなかで、成年後見制度の利用はさらに増加していくことが予想されているが、同時に後見人の横領や同意のない財産移動を防ぐ手立てを講じていくことも必須となっていきそうだ。


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<タックスワンポイント>

新築住宅の「一の階の床面積」とは  省エネ住宅と長期優良住宅の違い

 一生の買物ともなるマイホームの購入には、現在、多くの税優遇が用意されている。購入時には、親や祖父母からの贈与が最大1200万円まで非課税となり、購入後には、10年間にわたって利用できる「住宅ローン減税」や、最大30 万円がキャッシュで戻ってくる「すまい給付金」がある。
 さらに購入したマイホームが新築であれば、取得から数年間のあいだ、建物にかかる固定資産税が半額になるという優遇もある。家という大きな買物をした直後は貯金が減っていることも多いため、たとえ期限付きであっても、こうした税優遇があるとないとでは大違いだろう。
 この固定資産税の軽減特例が適用される期間は、原則として一戸建てなら3年、マンションなら5年となっている。しかし、耐震性能に優れるなどの一定の要件を満たせば、「長期優良住宅」として優遇期間が延長され、戸建て5年、マンション7年まで延ばすことが可能だ。住宅の性能に応じて税優遇が増えるというのは、取得資金の贈与にかかる非課税特例でも同様だが、そちらでは優遇拡大の対象となる住宅は「省エネ等住宅」と、少し表現が異なる。
 「長期優良住宅」と「省エネ等住宅」は、それぞれ要件が細かく異なるものの、おおよそ「一定の床面積」、「耐震性能」、「省エネ性能」が基準となっている点は同じだ。昨今の新築住宅やマンションは省エネや耐震に気を使っていることも多く、意識せずとも「両方に当てはまっている」ということも少なくない。
 ただし一点注意したいのは、省エネ等住宅になく、長期優良住宅にある要件の「少なくとも一の階の床面積が40平方メートル以上(階段部分を除く)」という部分だ。この「一の階」とは必ずしも一階である必要はなく、最も面積の多い階の面積が40平方メートルということ。都心部などでは一階当たりの床面積が30平方メートル程度、3階建てで総床面積約90平方メートルという住宅も多いが、これは長期優良住宅には当てはまらないということになる。つまり贈与税の「省エネ等住宅」には該当しても、固定資産税の「長期優良住宅」の優遇は受けられないことがあり得る。
 マイホーム購入の際に適用できる様々な税優遇は、適用できるかどうかでトータルの税負担が大きく変わってくる。購入の際には必ずチェックすべきだろう。


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2018年5月18日 金曜日

Vol.0449

<タックスニュース>

公正証書遺言が10年で5割増  日本公証人連合会が調査

 2017年に全国の公証人が作成した「公正証書遺言」の件数が11万191件に上り、07年の7万6436件に比べ5割増しになっていることが分かった。
 日本公証人連合会によると、17年に作成された公正証書遺言は前々年の11 万778件に次ぎ、統計を取り始めた1989年以降で2番目に多かった。89年は年間4万件ほどだったが、14年に10万件を超え、その後は高水準で推移している。
 全文を自分で書く「自筆証書遺言」は、思いついたタイミングで費用を掛けずに残せるという手軽さがあるが、自分で保管するので紛失リスクがあり、また書き方を少しでも間違えればその全部が無効になるおそれがある。
 一方、公正証書遺言は手数料はかかるが役場が原本を公文書として保管するので紛失リスクはほとんどなく、法務大臣が任命する法律のプロが作成するので遺言が無効になることはない。確実に遺言内容を次世代に残せる方法として多くの人に利用されている。
 公正証書遺言を残す際に面倒な点を挙げると、証人が2人必要なことだ。法律上、(1)未成年者、(2)推定相続人や財産を受け取る人、その配属者および直系血族、(3)公証人の配偶者、四親等内の親族、書記、使用人――は公正証書遺言の証人になれないと決められている。


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<タックスワンポイント>

ポイントも貯まるクレカ納付  情報漏えいの危険は?

 2017年1月に国税でもクレジットカード納付ができるようになって1年余りが経過した。クレカ納税はわざわざ金融機関などに足を運ばなくてもインターネット上で税金が納付でき、ダイレクト納付や振替納税といった他の方法に比べても手続きが簡単なことが特徴だ。専用の「クレジットカードお支払サイト」から税金の種類や金額、クレカ情報を入力するだけで手続きが完結する点は、他の納付方法にはない手軽さとなっている。
 手軽さに加えて、クレカ納付のもう一つの特徴はクレカならではの「ポイント」が付いてくることだ。クレカ納税の上限として税額1千万円未満かつカードの支払い限度額までという枠が設けられているが、この上限は手続き1回ごとの額で、総額ではない。相続税や法人税では税額が百万円を超えることも珍しくはないため、複数の税目をクレカで納めれば、それだけで1年間の取得ポイントが数十万円分になる可能性もある。
 ただし、注意したいのがカードの決済手数料だ。国税のクレカ納税では、税額1万円ごとに76円(1万円未満でも76円)の手数料が発生する。率に換算すると0・76%だ。つまり0・76%超のポイント還元率の付いたカードならば得をするが、還元率がそれ以下だと手数料で損をすることになる。還元率は会社やカードによって様々なので、クレカ納付を利用する際には必ずチェックしたい。
 そしてクレカ納税の抱える最大のリスクとして、悪意のある不正アクセスなどによる情報漏えいがある。残念ながらこのリスクは昨年、都税のクレカ納税サイトから70万件の個人情報が流出するという事件で顕在化してしまったばかりだ。サイトの運営会社が都税と国税で同じということもあり、今後国税でさらに大規模な情報流出が起きる可能性もゼロではないだろう。クレカ納税をする時は、そうしたリスクをはらんでいることに留意したい。
 最後に一つ、分割払いやリボルビング払いは金利や別途手数料によって損をする可能性が高まる。そもそも一括納付できないような額をクレジットカードで納めるべきではないだろう。


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2018年5月11日 金曜日

Vol.0448

<タックスニュース>

日本でも強まるアマゾン包囲網  1年間の売上は19兆円

 国境を超えて成長し続ける巨大企業への監視が、日本でも強まりつつある。公正取引委員会は3月、インターネット通販大手アマゾンジャパン(東京都目黒区)に立ち入り検査を行った。自社サイトで販売する商品の納入業者に、値引き販売した額の一部を「協力金」として補てんさせた、独占禁止法違反(優越的地位の乱用)の疑いだ。「世界に広がる包囲網から脱落せずに済んだ」(公取幹部)と胸をなで下ろし、契約条件の変更など排除措置命令を出す方向で調整中だという。
 アマゾン・ドット・コムは2017年の売上高が1800億ドル(約19兆円)を超えるまでに成長。創業者のジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)はマイクロソフトのビル・ゲイツを抜き、保有資産が約12兆円と世界トップになった。株主配当で資金を流出させず、フリーのキャッシュを設備投資や買収に回してさらなる成長を担保し、株価を上昇させる経営哲学にこだわる。
 日本法人であるアマゾンジャパンも圧倒的な品ぞろえと低価格、配送の早さを武器に急速に売り上げを伸ばして17年の国内売上高は1兆3000億円に達し、生鮮食品の宅配にも進出した。
 当然、アマゾンの市場寡占化に対する危機感は強まる一方だ。欧州連合(EU)は、ルクセンブルクの優遇税制を利用したアマゾンの税圧縮策を「国家補助規制に抵触する」と認定し、330億円を追徴課税した。ドナルド・トランプ米大統領も、ベゾスCEOを「国際的なネットワークを利用して税から逃れている」と何度も非難している。
 日本の公取委も、こうした世界の潮流に乗った形だ。今回の立ち入り検査をきっかけに、国税当局も「税務調査などで厳しく監視したい」(中堅幹部)考えという。


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<タックスワンポイント>

使わなくなった古い機械を除却損に計上  税務署は厳しいチェック!

 「業務用機械が古くなったため買い換えた」「商品の仕様が変わって古い製造機械が使えなくなった」「不況で商品の生産が中止になった」――。業務用の固定資産の多くは、こうした理由で不用になるが、これらを処分せずにオフィスや工場などに放置していれば、業務スペースは縮小するし、固定資産税も毎年かかってしまう。かといって、廃棄には膨大な費用がかかり、なかなか思い切れない。
 そこで「有姿除却」という制度を覚えておきたい。これは、使用しなくなったにもかかわらず廃棄や解体をしていない固定資産でも、現状の有姿(あるがままの姿)のまま除却損を計上できる制度のことだ。対象資産の帳簿価額からその処分見込価額を控除した金額が除却損として計上できる。不用な固定資産を処分できずに抱え込んでいる会社にとってはなんともありがたい制度である。
 しかし、それだけに税務署のチェックも厳しい。有姿除却後も時々使用していたことがバレてしまい否認されることや、使用していなくても「今後使用する可能性がないことを立証できない」として色メガネで見られることもある。
 そのため、実際には廃棄していないモノを帳簿上「廃棄した」ことにする以上、それなりの体裁を整える努力は必要となる。つまり「今後は事業に使うことはありません」ということを立証することだ。
 稟議書などによる会社としての判断や、第三者による診断結果を準備しておくというのもひとつの手であるし、また生産される製品の管理状況を整えておく、その機械の最も要となる部分を破砕して物理的に使用不可の状況にするという方法もある。税務調査シーンでは必ず問題になる有姿除却。立証責任を果たせるよう、十分に準備しておきたい。


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2018年5月 4日 金曜日

Vol.0447

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10%じゃまだ足りない?  OECDが消費税率19%を提言

 消費税率の19%への引き上げを、経済協力開発機構(OECD)のグリア事務総長が提言した。4月13日に麻生太郎財務相と会談した際に伝えたと、朝日新聞が報じた。これまでもOECDは10%にとどまらない消費税率の引き上げを求めてきたが、具体的な数値を挙げたのは初めてのことだという。
 グリア氏は、2019年10月に予定される10%への増税について、予定通り実施するよう提言し、麻生氏も「予定通り引き上げられる経済環境に持っていけるよう努力したい」と応じたという。さらにグリア氏は10%にとどまらない継続的な増税を求め、その水準としてOECD加盟国平均の19%を示した。その他にも高齢者の就労推進を促し、企業の定年の引き上げや撤廃も提案したという。会談は約30分間行われた。
 消費税の10%超への再増税については、国内でも経団連から求める声が大きい。経団連は4月17日に、「わが国財政の健全化に向けた基本的考え方」とする文書を発表し、そのなかで「将来不安の払しょくに向け、広く国民で支える観点から、税率10%超への消費増税も有力な選択肢」だと主張した。
 その一方で、「企業負担増となる財政調整による財源捻出には頼るべきではない」とも述べ、財源は企業ではなく全納税者から等しく集めるべきとの姿勢を改めて打ち出した。


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遺産分割協議が終わらない......特例適用は期限内が原則

 遺産分割協議は相続発生から10カ月以内に話し合いをまとめることが一般的な"目標"となっているが、法的にはいつまでに終わらせなくてはならないという決まりはない。ただ、被相続人の死亡から10カ月後には相続税の申告期限が待ち受けている。誰がどの財産を相続するかを決めないと、それぞれの相続人が納めるべき相続税額を確定できない。申告期限を過ぎても話し合いがまとまらず、期限内に申告できなければ、無申告加算税を課税されてしまう。
 もし申告期限を過ぎても協議が終わらない見込みなら、「法定相続分の割合で遺産を取得した」という仮定のもとで期限内に相続税の申告をする。その後に遺産分割協議書が成立してから、修正申告や更正の請求によって正しい税額に訂正すればよい。
 しかし、遺産分割協議が申告期限内に終わらないと、宅地の評価減を最大8割減額する「小規模宅地の特例」や、被相続人の配偶者の相続税を1億6千万円まで非課税にする「配偶者の相続税額の軽減」は原則として適用できなくなる。ただし救済措置もあり、相続税の申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付すれば、期限後でも特例を使うことが認められる。この分割見込書は名称の通り、申告期限から3年以内に分割を終えることを前提としたもの。すなわち特例を適用するには、被相続人の死亡から3年10カ月以内に分割協議を終える必要がある。なお、「やむを得ない事情」があると税務署に認められればさらに期限を延長できるが、そのハードルは高いので期待しない方がよさそうだ。


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