タックスニュース

2019年2月22日 金曜日

Vol.0484

<タックスニュース>

ポイント還元予算膨張の兆し  企業が経費削減に利用?

 10月の消費税増税の経済対策の柱となるキャッシュレス決済時のポイント還元制度について、経産省は2019年度予算案に計上したポイント還元費用が枯渇した場合、予算の追加計上を求める方向だ。財務省は「あり得ない」と予算膨張に予防線を張るが、首相官邸はキャッシュレス決済の普及を後押ししており、旗色は悪そうだ。
 世耕弘成経済産業相が2月5日の衆院予算委員会で「予定より早く予算が尽きるという見込みになった時は、財政当局と相談して対応を検討する」と述べ、利用者の急増で予算が足りなくなった場合は追加で予算要求する可能性を示唆した。
 ポイント還元制度は、中小の小売り、飲食店などでクレジットカードなど現金を使わない手段で決済した場合に、決済額の最大5%を国が消費者にポイントで還元する仕組み。政府は19年度予算案に2798億円を計上し、中小店舗への決済端末の導入費用などを除く約1600億円を消費者への還元に充てる予定。期間は10月から9カ月間で、20年度も約1000億円の予算を計上する方針だ。
 麻生太郎財務相は1月下旬、「足りなくなることを想定しているわけでは、まったくない」と述べ、予算不足の可能性を否定している。ただ、今回の制度は個人の消費者だけでなく法人も利用できる仕組み。経費節減を迫られている企業が中小小売店で備品などを大量に購入する可能性もある。その場合、還元費用が1兆円規模に膨らむ可能性が想定される。
 財務省幹部は「企業のコスト削減目的で費用が膨張するのは許されない」と主張するが、安倍晋三首相は国会でキャッシュレス決済普及の重要性を指摘しており、予算の追加計上の可能性は決して低くはない。


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<タックスワンポイント>

借家権の相続で大家の許可は一切不要  本来目的以外の使用や定期借地権は注意

 大家と言えば親も同然、店子と言えば子も同然――。江戸時代の家主と借家人には公的な権利義務関係はなく、家主である大家が全ての権利を握る権力者であったため、店子の生存権すら大家が握っていたといっても過言ではない。なお、当時の大家とは、真のオーナーから管理一切を預かる管理人のような存在であったという説もあるが、いずれにしても退去を迫る家主に対して店子が居座りを決め込むことは許されなかったろう。
 翻って現在は、借り手にはしっかりと借家権が認められていて、大家といえども簡単に追い出すことはできない。転居してもらうには一般的に借り手との交渉が不可欠で、それなりの補償金が必要になることも多い。
 もちろん、借家人の権利は相続後も引き継がれる。ちまたでは相続にあたって「契約したのは被相続人だから死去により契約は解除する」などと一方的に借主に通知してくるケースも散見されるが、法的には応じる必要は全くない。これは土地の賃借に関しても同様で、借り手は「相続で賃借権を取得しました」と通知するだけで手続きは終了する。
 借地権とはそれほどまでに強い権限を有しているため、契約期日の到来に際しては契約の更新を地主に請求することができ、また契約を更新しない場合には建物の買い取りを地主に請求することもできる。
 なお、借地権の評価は、その土地の更地での金額に借地権割合を掛けて計算する。借地権割合は、国税庁ホームページで公開されていて、土地に路線価が定められていれば「財産評価基準書」の路線価図に、定められていなければ評価倍率表に記載されている。
 気を付けたいのは、借りた土地や建物を本来の目的以外で使用する際には、借地借家法にもとづく権限が認められず、相続財産として評価の対象とはならない。
 また、これらの借地権とは異なり、契約期間の満了をもって更新せずに借地権が消滅する「定期借地権等」もある。評価にあたっては、基本的にその土地の更地としての金額に定期借地権割合と逓減率を掛けて計算するが、定期借地権割合と逓減率は借地権割合とは異なり、個々の契約ごとに計算が必要になる。


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2019年2月15日 金曜日

Vol.0483

<タックスニュース>

毎月勤労統計不正  崩れ去った増税の根拠

 厚生労働省が公表する「毎月勤労統計」の不正調査問題について、根本匠厚労相は2月5日の衆院予算委員会で、「2018年の実質賃金の伸び率が1~11月のうち9カ月で前年同月比マイナスになる」との野党の独自試算について「名目賃金を機械的に消費者物価で割り戻すという前提の限りではおっしゃる通りだ」と述べ、事実上認めた。
 毎月勤労統計は、統計法に基づいて民間の法人や官公庁の賃金、労働時間、雇用状況などの全体像を把握することを目的として政府(厚生労働省)が実施する国の重要な統計調査だ。月例経済報告での景気判断や地方自治体の政府決定の際の指針となるほか、雇用保険や労災保険の給付にあたっての改定、公共料金の改定、人事院勧告、民間企業の給与改定、交通事故の賠償金の算出などにも使われる。さらに世界各国が日本の労働事業を把握する際にも用いられる「日本国の姿」そのものといっていい。国民は「日本国の姿」をこの統計をもとに認識し、議論し、向上に努めている。
 安倍政権が各種増減税にあたって社会状況を示す根拠もこの統計にあり、今後の焦点となるのが、10月に予定されている消費増税が予定通り実施されるかどうか。政府は「景気回復は続いている。だから消費税を上げる準備が整った」と説明した際の根拠もこの統計がベースになっている。
 統計の不正発覚によって、安倍政権が21年5カ月ぶりの高い水準だと盛んに自慢してきた18年6月の現金給付総額は、公表してきた「3・3%の伸び」は「2・8%の伸び」であったことが分かった。さらに毎月勤労統計調査の賃金変動は、前年と同じ事業所で比較する「参考値」で見るのが正しいことが、総務省の指摘で確認された。参考値ならさらに伸び率が縮み、計算すると1・4%になることが分かった。
 厚労省が下方修正した数値では、名目賃金の伸び率も18年1月から同年11月までの全ての月で、これまでの公表値を下回った。物価の上昇を差し引いた実質賃金でも、18年1月から同年11月まで、9月を除くすべての月で低下したのだから、増税の根拠は根底から崩れさったと言うしかない。


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<タックスワンポイント>

認知症高齢者は確申前に控除確認を  要介護認定と税務は別処理

 障害者控除は所得税法で規定されている税負担軽減特例の一つで、障害の程度によって27万円~75万円が所得から控除される。この控除の対象となるかどうかは、原則的に「障害者手帳」などを所有しているかで判断されることを知っている人は多いだろう。
 しかし実は手帳を持っていなくても、65歳以上で、その障害の程度が「障害者手帳などを持っている知的障害者や身体障害者に準ずる」と市町村長や特別区の区長から認定を受ければ、障害者控除の対象となる。程度にもよるが、認知症による要介護や要支援の人も該当するので、それなら自分の家族も当てはまるという人は意外に多いのではないだろうか。
 税務上の障害者控除の認定を受けるためには、市町村の高齢者福祉課などに「要介護や要支援認定者の障害者控除の認定」の申請をして、障害者控除対象者認定書を入手する必要がある。要介護・要支援の認定が受けられれば、確定申告書の「勤労学生、障害者控除」の欄にその旨を記入することで控除が適用可能だ。過去の年分にさかのぼっても、申告期限から5年間は更正の請求を行うことで還付も可能なので、確定申告期前の今の時期に改めて確認しておきたい。
 障害者控除を受けることを忘れる人が多い理由の一つには、認知症による「要介護や要支援の認定」と、税務上の「障害者控除の認定」がセットで行われないことがある。どちらも認定者の住所地の市区町村が行うものの、両者の認定は別々に行われているため、認知症によって要介護や要支援の認定をされてもイコール障害者控除の認定がされたわけではないという分かりにくさがある。
 なお障害者の税負担を軽減する特例は相続税にもあり、85歳に達するまでの年数1年につき10万円(特別障害者は20万円)の税額が控除される。


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2019年2月 8日 金曜日

Vol.0482

<タックスニュース>

豊洲市場の移転コスト削減  一般会計に5500億円繰入

 東京都が豊洲市場(江東区)の移転にまつわる収支を見直した。人件費や施設の管理経費をカットして年間10億~20億円のコストを削減し、毎年21億円と見通していた赤字額を10億円まで縮小。旧築地市場(中央区)は特別会計で扱っていたが、都民の税金で捻出する一般会計に5500億円程度で繰り入れることにした。
 1月23日に開いた関係局長会議で決定した。豊洲市場は整備に6千億円以上かかっただけでなく、毎年続く赤字により、市場関係者の市場利用料でまかなう特別会計において大きな不安材料となっていた。特別会計が破綻すれば一般会計に移行せざるを得ず、結局は税金が充てられることになる。
 一方、19年度の税制改正大綱には地方法人課税の偏在を是正する措置が盛り込まれた。その影響は20年度から少しずつ発生して21年度には全体に及び、都の減収額は最終的に年間約8800億円に上るという試算が出た。このため都は新旧両方の市場について早期に扱い方を整理し、税政への負担を和らげることにした。ちなみに旧築地市場の移行とコスト削減により、都は特別会計が資金不足に陥る時期を49年度から69年度に先延ばしできるとみている。
 与党の税制改正大綱がまとまった昨年12月、小池百合子都知事は「将来に禍根を残す大いなる誤り」「地方分権は死んだといっても過言ではない」とひたすら憤っていた。しかし、都政の大きな懸案である市場問題の改善に生かすという一手を示し、都幹部からは「政治家の勘、嗅覚は衰えていないようだ」と評価する声が上がっている。


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<タックスワンポイント>

確定申告間近  申告しないリスクとデメリット

 確定申告は、フリーランスや2000万円以上の給与所得者のほか、副業で20万円以上ある人、年金の多い人、不動産収入がある人などが義務として課されている制度だ。実際の納税額よりも多く納めていれば申告によって還付されることもあるが、一方で還付が少ないときや新たに納税義務が発生しそうな人のなかには申告を行わない人もいる。
 そうした人の多くが「どうせバレない」という言葉を口にするが、税務署の目は節穴ではない。フリーランスなどであれば支払調書や相手先への調査で不備が浮上するし、そのほかの収入についても銀行の情報が当局に筒抜けである以上、不正がバレないわけがない。
 しかもバレたときのペナルティは、当然ながらまっとうな納税額以上になる。まず期限内に申告をしないことによる延滞税が納付期限から2カ月までは2・9%、それ以降は9・2%かかる(税率は年度によって変わる)。さらに無申告加算税は15~20%だ。
 さらに、無申告によって受けられなくなるサービスも出てくる。医療費控除や住宅ローン控除だけでなく、不動産物件の賃貸契約や各種ローン契約、さらに奨学金や児童手当でも収入の証明が必要になるため、こうした制度が利用できなくなる可能性もある。
 税金だけの問題ではなく、日常生活にも困ることになり、また自身の信用にもかかわる。「どうせバレない」の代償は極めて大きいものだ。


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2019年2月 1日 金曜日

Vol.0481

<タックスニュース>

それ、ホンモノ?  国税装う不審なメール

 国税庁からのメールであるように偽装して個人情報を尋ねるメールが送信されているとして、国税庁が注意を呼び掛けている。国税当局からのメールは基本的にe-Taxの利用者に送られる定型文の「税務署からのお知らせ」に限られ、その送信元の欄には「e-Tax(国税電子申告・納税システム)〈info@e-tax.nta.go.jp〉」と表示されるので、それ以外の不審な連絡を受け取った際にはメールを開封しないようにしたい。
 国税庁によると、偽装メールは「所得税に関する重要なお知らせ」などの件名で送られてくる。添付ファイルが付けられていることもある。しかし正式な「税務署からのお知らせ」には添付ファイルが付けられることはない。また、国税当局からのメールは「申告に関するお知らせ」などの定型文で送られてくることになっており、国税庁のホームページに「送信される『税務署からのお知らせ』」として列挙されているパターン以外の内容は送られてこない。


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クレジットカード納税  損益分岐点は「還元率0・76%」

 わざわざ金融機関などに足を運ばなくても税金の納付ができる方法として、クレジットカード納税の利用者が増えているようだ。特に国税のクレカ納付には税目の制限がほとんどなく、所得税、法人税、消費税、相続税、贈与税といったメジャーな税目から、印紙税やたばこ税、登録免許税までほぼすべての税目が網羅されている。
 何よりクレカには「ポイント」が付いてくる。相続税や法人税では税額が100万円を超えることも珍しくはない。クレカ納税の上限として税額1千万円未満かつカードの支払い限度額までという枠が設けられているが、この上限は手続き1回ごとの額のため、複数の税目をクレカで納めれば、それだけで1年間の取得ポイントが数十万円分になる可能性もある。
 ただしポイント目当てでクレカ納税を利用するなら、気を付けたいのが手数料だ。国税のクレカ納税では、税額1万円ごとに76円(1万円未満でも76円)の手数料が発生する。率に換算すると0・76%で、つまり0・76%超のポイント還元率の付いたカードなら得をするが、還元率がそれ以下だと手数料で損をすることになる。還元率は会社やカードによって様々なので、クレカ納付を利用する際には必ずチェックしたい。


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