タックスニュース

2019年4月19日 金曜日

Vol.0491

<タックスニュース>

小規模宅地特例が厳格化  狙われたウワサのトランクルーム節税

 自宅や店舗がある土地の相続税評価額を最大8割減らせる「小規模宅地の特例」の適用条件が、4月1日を境に厳格化された。事業用として使った期間が短い敷地を特例の対象外とするもので、一部の地主の間で流行していた「トランクルーム(レンタル倉庫)節税」を封じることが主な狙いと見られている。
 小規模宅地の特例とは、土地の相続税評価額を最大で2割にまで下げることができる特別措置で、対象となるのは被相続人が住んでいた土地や事業をしていた土地だ。仮に路線価に基づく評価額が5千万円の土地なら、最大で評価額を1千万円にまで下げられ、相続税率30%で単純計算すれば税額は1500万円のところ300万円で済むことになる。
 この特例について4月1日に施行された改正法では、事業を始めてから3年未満の土地は適用対象から外されることとなった。そう遠くないうちに相続が発生すると判断した人が、相続直前に何らかの事業を開始することで、その敷地を特例の対象にする節税策は封じられたことになる。
 2018年12月に決定した与党税制改正大綱では、相続直前のこうした対策について、「本来の趣旨を逸脱した適用」として問題視し、禁じ手として封じることをうかがわせていた。このかじ取りの背景には、街のあちこちで見かけるようになったトランクルームの貸し出し業が関係しているようだ。
 相続直前に特例の適用条件である「相続までに事業開始」という体裁を急ぎで整えるには、なるべく手間やコストがかからない事業の方がいい。その点で荷物を置くスペースを提供するだけのトランクルームの貸し出し業は理にかなっている。他の事業と比べて必要な設備が少ないので低コストで始められ、相続開始の直前に事業としてのカタチを整えやすいためだ。
 また、相続人が相続税の申告期限まで宅地の所有と事業を続ければ、その後に土地を売却しても特例の適用が取り消されることはない。そのため比較的容易に設備を撤去できるトランクルーム事業は、最終的に土地の売却を見据えている地主の相続対策として使われてきた。
 今後は事業に使った期間が短い土地は対象外となってしまうので、相続直前に事業を始める「にわか事業者」の土地は通常と同様の評価方法に基づき課税されることになる。ただし敷地内の「事業用減価償却資産」の金額が、宅地の相続税評価額の15%以上なら、これまでと変わらず特例を適用できる。すなわち改正によって特例の適用から外れたのは、トランクルームの貸し出しなど比較的安価な設備だけで行える事業用の土地と言える。
 小規模宅地特例の適用条件の厳格化は前年も行われている。
 住居用の敷地で特例を適用できる人は基本的に被相続人の配偶者か同居親族に限られているが、家を所有せずに貸家に住み、親と別居する親族、通称「家なき子」が相続するケースは例外的に特例の対象としている。以前は「家なき子」であれば基本的に特例を適用できたため、マイホームを持たないという状況を形式的に作り、特例の適用対象になるという節税スキームが流行した。例えば土地付き一戸建て住宅を所有している人が、家を息子に贈与して持ち家を持たない「家なき子」となり、自分の親の相続で特例の適用を受けるというものだ。そのため国はルールを改定し、被相続人の死亡日からさかのぼって3年以内に3親等内の親族もしくは関係法人が持つ家に住んでいた人は、「家なき子」であっても特例の対象から外された。
 また貸付用の宅地に関する適用条件も厳しくなった。人に貸しているアパートや駐車場も特例の対象であるため、相続の直前に一時的に不動産を購入し、"にわか大家"となって節税を図る人は少なくなかった。そこで相続開始前の3年以内に大家となった者は特例を適用できなくなった。
 今年と昨年の改正は、国が「本来の趣旨を逸脱した適用」とみなした税逃れを封じるものだが、制限が加えられた範囲は広く、納税者がこれまで特例の対象になると判断していた土地が、適用対象外となるおそれが出ている。


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<タックスワンポイント>

家族介護手当金は非課税  企業が出しても「見舞金」扱い

 地方公共団体の中には、要介護認定を受けている人を介護している家族に対して、支援手当を支給するところがある。また家族を介護するために会社を辞めた人は、厚生労働省から介護休業給付金を受け取れる。そのほかにも要介護者がいる低所得の世帯に慰労金を支給する制度など、介護負担に対する支援制度は全国にある。超高齢社会への移行に伴う認知症患者の増加によって介護離職などが社会問題となるなか、こうした手当や給付金を受け取りたいと思う人はどんどん増えていくだろう。
 例を挙げると、一部の地方自治体では、家族介護者支援手当として要介護者が6カ月以上介護保険を利用していないことなどを要件に、受給者1人当たりの負担額をベースに月額数千円~数万円の手当を継続的に支給する。ここでいう「要介護」とは、身体上または精神上の障害があるために、入浴、排せつ、食事などの日常生活について常時介護を要する状態をいう。家族介護者支援手当は、このような障害のある人の家族に対して行われる自治体からの支援なわけだ。
 助成金や補助金といったものは、たとえ公的な支援であっても、それ自体に所得税などがかかるのが原則だ。しかし国税庁は、自治体からの介護者支援手当は「見舞金的性格が認められる」として、原則非課税の扱いを認めている。厚労省の介護休業給付金についても同様で、給付金を受け取ってもそれが所得となることはない。
 民間企業に目を向けてみると、家族を介護する従業員に時短勤務を認めたり、業務内容を考慮したりという企業は多いが、そのものずばり「介護手当」を支給する会社は多くない。大企業で言えば、自動車大手のホンダが2016年に「育児・介護手当」を導入したことで話題になったくらいだ。しかし人口減少に伴い人手不足がますます深刻化していくなかで、家族を介護する人材をむざむざ離職させないためにも、何らかの対策を講じる必要性は中小企業でも高まっていくだろう。そのなかで、企業として従業員に介護手当を支給する可能性も十分にあり得る。
 それでは従業員への介護手当は税務上どう扱われるかというと、やはりこれも非課税になるだろう。入院したり自然災害に被災したりした従業員への見舞金は、原則として所得税が課されず、また会社側も福利厚生費として損金に算入できる。ただし、その金額が「社会通念上妥当な金額」を超えてしまうと否認されてしまうリスクがある点には気を付けたい。


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2019年4月12日 金曜日

Vol.0490

<タックスニュース>

米・ニューヨーク州が「渋滞税」を導入  日本でも五輪期間に実施か

 市街地の交通渋滞を解消するため、ドライバーから「渋滞税」を徴収することを米・ニューヨーク州議会が決めた。4月1日に可決した予算案に盛り込まれた。慢性的な交通渋滞を緩和し、税収を地下鉄など公共交通機構の整備に充てるという。渋滞税の導入は全米で初めて。
 ニューヨーク市の深刻な道路渋滞は以前から有名だったが、近年ではウーバーなどの配車サービスが普及したことにより、加速度的にひどくなっているという。そこで新税では、ニューヨーク市でも最も渋滞の多いマンハッタン島の南側に乗り入れる自動車から、1日1回徴収する。税額は固まっていないが、米国内メディアによれば普通車で11ドル(約1200円)、トラックは25ドル(約2800円)程度を徴収する。ただしタクシーやウーバーなどの配車業については適用外とする案で検討が進んでいるといい、どこまで渋滞緩和に実効性を発揮するかは未知数だ。早ければ来年末から徴収を始める。
 渋滞税の導入は全米では初だが、世界的にみれば英・ロンドン市という先行事例がある。同市では道路渋滞が社会問題化していた2003年に渋滞税を導入し、現在では該当エリアに乗り入れる車から1日10ポンド(約1500円)を徴収している。該当エリア内に住む人も自動車を使う時には1ポンドの納付が課されている。同市の交通局によれば渋滞税の導入によって渋滞は30%解消され、交通量は15%減少したという。
 日本では、恒久的な渋滞税が導入されたことはない。しかし来年開催の東京五輪では深刻な交通混雑が予想されるため、首都高速道路の通行料を時間帯や車種によって変動させる「ロードプライシング」の導入が議論されている。首都高の通行料は現在最大で1300円(ETC普通車)だが、競技が行われる日中は最大2~3千円まで値上げする案が出ている。すでに国土交通省や高速道路会社が具体的な検討を進めていて、日本でも「渋滞税」が導入される日は遠くなさそうだ。


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<タックスワンポイント>

政治家の献金やパーティー券は寄付金扱いで  実際に出席すれば交際費になることも

 国民の暮らしに直結する今年の行事といえば、なんといっても春の統一地方選と夏の参院選だろう。選挙の結果はそのまま明日の生活を変える。そのため国民の投票行動にはそれぞれの思惑が込められ、いかに自分の理想に近づけるかを一票に託す。
 それはビジネスでも同じことで、候補者の政策が自社の利益になると思えば投票はもちろん、業界を挙げて選挙活動の応援もし、さらに献金も行う。
 ただ覚えておきたいのは、献金にあたって政治資金規正法では、個人も企業も、政治家個人への直接の献金は認められないということだ。特に企業は、政治家が特定の企業に見返りを与えることにつながらないようにするためだという。本来、見返りを求めていないのであれば、その支出は経営者による企業への背任行為ともとられかねないのであるが、建前として法律ではそう決められている。献金するとしても政党に直接、または政党が指定する政治資金団体を通じてしか支出できない。
 また、会社法の側面からも規制がある。前述のように、献金は会社や株主の利益に直接的に資するものではないとされていることから、献金は会社の規模や実績など諸々の事情を考慮して合理的な範囲内で行わなくてはならない。会社や業界のための献金であっても、建前としての理由を株主や利害関係者向けに用意しておく必要がある。
 そもそも政治献金は寄付金であるので、損金として認められるのは損金算入限度額までだ。自社の限度額を見越して、他の寄付とのバランスをとって損金になる分だけの献金をするのがスマートな経営といえそうだ。
 政治献金と隣接した支出に政治資金パーティーの参加費がある。飲食のある会合への参加だが、この費用は原則的に寄付金として扱われるので、寄付金限度額を計算する際に忘れないようにしたい。もともと政治家のパーティーの目的は飲食や親睦ではなく、券の購入そのものに意義がある。そのため実際はパーティー券を購入しても出席しないことも多いため、原則として交際費ではなく、寄付金となっている。もちろん、本当に出席したのであれば交際費になるが例外扱いであるため、証拠となるメモや写真などを取っておくほうが無難だ。


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2019年4月 5日 金曜日

Vol.0489

<タックスニュース>

仮想通貨を差し押さえ  兵庫県警に続き全国2例目

 駐車違反金の滞納を繰り返した男性に対して、保有する仮想通貨を差し押さえたと埼玉県警が3月18日に発表した。駐車違反に関して仮想通貨を差し押さえたのは、昨年の兵庫県警に続いて全国で2例目。2017年に改正資金決済法が施行されたことで仮想通貨が「財産」として認められたことを踏まえた措置で
 税滞納でも同様に仮想通貨が差し押さえられる可能性は高い。
 埼玉県警によると、男性は18年までに駐車違反を7回繰り返し、たびたびの督促にも応じず計10万1000円を滞納した。県警は預金口座を差し押さえたが滞納分に足りなかったため、男性が仮想通貨交換業者に預けていた仮想通貨約64万円分を差し押さえ、そのなかから滞納分を換金して徴収したとみられる。
 交通違反金の滞納分として仮想通貨を差し押さえたのは、昨年7月の兵庫県警が全国で初めて。その際には、仮想通貨を一旦差し押さえた上で、差し押さえ債権の履行期限までに納付がなければ、その時点のレートで現金化するという扱いがされた。今回の埼玉県警がどのタイミングで仮想通貨を現金に交換したかは不明だが、換金のタイミングによっては差し押さえ時点より下がったレートで現金化されてしまうことも考えられ、そうなれば滞納充当額が足りずに追加で財産を差し押さえられる可能性も否定できないところだ。


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<タックスワンポイント>

有給休暇の買い上げは例外的措置  原則は違法、買取時は源泉徴収

 4月施行の働き方改革関連法では、企業の規模を問わず、有休が10日以上付与されている全従業員について、年間最低5日の有給休暇を取らせることが義務化される。違反した時には6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が発生するというから、すべての社長さんにとって他人事ではない。
 しかし中小企業では1人欠けると業務が回らないこともままあるだろう。どうしても5日取らせることができないなら、せめて有休の買い取り対応でしのぎたいと思うかもしれないが、有休の買い取りは原則として違法行為に当たるため、解決にはならない。
 有休の買い取りが例外的に認められるのは、退職時に残った有休をまとめて買い上げるというケースなどで、この場合、退職日までの日数では有休を消化しきれないという理由がある。つまり会社都合で有休を勝手に買い上げ、従業員に勤務を強いるということは許されないわけだ。そして例外措置として有休を買い上げた時には、源泉徴収を忘れないようにしたい。
 なお源泉徴収が必要な給与所得には、月々の給料に加えて臨時で支払われるボーナス、家族手当、残業手当などの諸手当に加えて、金銭以外のものや権利などによって得られる経済的利益も含まれる。


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