タックスニュース

2019年6月28日 金曜日

Vol.0499

<タックスニュース>

節税保険の見直し  がん保険の実態調査へ

 中小企業の経営者向けの「節税保険」の課税ルール見直しを巡り、国税庁は法人契約のがん保険について契約の実態を調査することにした。がん保険については4月に課税を強化する方針を決めたが、生保業界の猛反発を受けて事実上の撤回に追い込まれている。調査の結果を踏まえ、改めて判断する。
 国税庁は4月に示した課税見直し案で、経営者の死亡に備えた保険だけでなく、がん保険なども一律に課税を強化する方針を打ち出した。生保各社が終身契約のがん保険について、保険料の支払期間を短縮するケースが増えてきたためだ。アフラック生命保険や第一生命グループのネオファースト生命保険などは、2年払いや3年払いに切り替えた。終身払いだと年間数万円程度の保険料だが、短期払いでは年間数百万円の保険料を損金として算入できる仕組みで、節税効果が大きく向上。こうした「節税保険」では、中小企業の経営者の死亡に備えた商品の販売合戦が過熱した。保険料を全額損金算入できる上に、一定の期間を過ぎてから解約すると支払った保険料の大半が返ってくるため、解約を前提とした販売が広がっていた。
 見直し案では、解約時に戻ってくる保険料の割合を示す返戻率が50%以下なら保険料の全額損金算入を認めるが、50%を超えて節税効果が大きい場合には損金に算入できる割合を制限。過熱した節税保険ブームに歯止めをかけようとした。しかし国税庁は2012年の法人税通達で、福利厚生などの目的で企業が契約して保険料を支払い、経営者や従業員が非保険者になる商品について、返戻金がなければ保険料の全額損金算入を認めていた。このため、生保各社から「手のひら返しだ」と批判が殺到し、再検討に追い込まれた。


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<タックスワンポイント>

お墓の購入は増税前に駆け込め  引き渡し期限は19年9月末日

 2度の延期を経て、今回こそは消費税率10%への引き上げが現実のものとなりそうだ。住宅や自動車などの高額商品をはじめ、様々な業界が駆け込み需要を期待して営業攻勢をかけている。なかでも最近になって活気づいているのがお墓の業界だ。墓石は、中国産の廉価品でも80万円以上、最高級の香川の庵治石となれば800万円クラスもざらにあるほど高額な買いものだ。消費税率2%の違いは大きいだけに購入者が相次いでいるという。
 一般に、「お墓を買う」と言うが、実際には墓地の購入とセットだ。お寺や霊園などから墓地の永代使用の権利を購入し、そこに別業者である墓石屋から墓を買って設置する。
 注意したいのは、実際に墓が完成するまでに1~2カ月はかかることだ。予定通り消費税率が引き上げられたとして、現行の税率適用は2019年9月30日までであるため、それまでに墓の引き渡しが完了していることが8%税率の適用条件となる。契約済状態であっても実際に墓が建立していなければ税率引き上げ後の10%となる。
 なお、墓は消費増税を見越した購入だけでなく、相続税の節税対策としても効果的だ。相続税法では、墓地や墓石は被相続人が生前に取得していれば相続税の対象外の財産となる。また、墓地の購入は、法的には「所有権」ではなく「使用権」となるので、購入時の不動産取得税や購入後の固定資産税などもかからない。生きているうちに高額なお墓を買うことで財産を減らせるため、効果的な節税対策となり得る。
 また、高額商品の購入では、ポイント還元やマイレージ加算のメリットを考えてカード決済にする人もいるだろうが、ローンを組んで相続対策をする場合は、支払いはあくまでも生前のうちに完了している必要があることも覚えておきたい。


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2019年6月21日 金曜日

Vol.0498

<タックスニュース>

タックスヘイブン対策税制適用  サンリオVS国税法廷へ

 ハローキティなどのキャラクター商品などを手掛けるサンリオ(東京都品川区)は6月11日、東京国税局から受けた約11億円の追徴課税処分を不服として、処分の取り消しを求める訴えを東京地裁に起こした。国税は海外子会社を企業実態のない「ペーパーカンパニー」と認定して課税処分を決定したが、サンリオは徹底的に争う構えだ。
 サンリオが東京国税局から申告漏れを指摘されたと発表したのは2017年12月だ。香港にある子会社の所得を巡り、法人税率の低い国に税逃れ目的で中身のない子会社を設立した企業に適用される「タックスヘイブン対策税制」を適用されたことが理由だった。ハローキティなどのなどの人気キャラクターを商品化するライセンスビジネスなどを行う香港の子会社2社が、12年からの4年間でおよそ28億円を申告していなかったとされた。
 同社に適用されたのは、税率の低い国や地域に実体のない会社をつくる企業に対して、過度な節税を防ぐことを目的として導入された「タックスヘイブン対策税制」だ。通常、日本では海外子会社の所得には課税されないが、法人税率が過度に低い国や、法人税のない国に子会社を設立し、その子会社に主たる事業の実体がなく関連会社の株式保有や資産管理だけが目的と判断されたときには、親会社の所得と合算して日本の法人税率で課税されることとなる。以前は「これ以上法人税率が低ければ対象となる」というトリガー税率が設定されていたが、世界的に法人税の減税競争が激しくなるなかで17年度に税率基準が原則的に廃止され、現在は税率にかかわらず事業の実体をもって判断することとなっている。
 東京国税局はサンリオの子会社2社について、現地に子会社を設立する経済的合理性がなく実体のない税逃れのための法人だとして、親会社であるサンリオの所得と合算すべきと認定した。これに対してサンリオは、「子会社は、現地の消費者の嗜好を反映する当社キャラクターのローカライズ(現地化)業務やキャラクタービジネスを展開するという積極的な経済合理性を有」すると反論し、処分の取り消しを求めて再調査請求を行ったが、棄却されたとしている。
 同社は今月11日に訴訟の提起をホームページ上で報告し、子会社がタックスヘイブン対策税制を適用された件について改めて反論した。併せて、昨年7月に国税不服審判所に審査請求を行い、現在も審査中であるとしながら、「請求を行ってから3カ月以上経過し、法令上、取消訴訟を提起できる状況になった」として、提訴に踏み切った理由を説明している。
 タックスヘイブン対策税制を巡っては、自動車部品大手のデンソーが複数の海外子会社について計70億円の追徴課税を課され、最高裁まで争った結果、全面的な処分取り消しを勝ち取ったケースがある。判決では、シンガポールにある子会社の収入、所得、人員などの状況を総合的に考慮した結果、子会社の事業を「相当規模の実態がある」と認定した。サンリオの子会社についても同様に、実際の子会社の業務や人員状況などが課税処分の正当性を判定するポイントとなりそうだ。


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<タックスワンポイント>

風疹の予防接種費は控除できず  自治体が費用助成も...まずは抗体検査を

 昨年から全国で風疹が流行している。5月12日までに報告された今年の患者数は1486人で、国立感染研究所が風疹の流行に関する緊急情報を出すに至っている。風疹は本人自身に高熱や発疹といった症状を引き起こすだけでなく、咳などによる飛沫感染で広がり、特に妊婦が感染すると流産リスクが高まったり生まれてくる赤ちゃんに障害を生じさせたりする恐れがある。今年に入ってすでに2人の先天性風疹症候群の赤ちゃんが報告されているという。
 また、今年は風疹だけでなくはしかも流行していて、5月までで昨年の感染者数の倍以上の患者が報告されている。しかも、こうした流行は日本だけの現象ではなく、世界中で一度は減少したはずのこれらの感染症の患者が増えている現状がある。その背景には各国の保健政策の変遷のなかで十分な予防接種を幼少期に受けられなかった"空白世代"が生じていることや、ワクチンの効果への不信などから子どもにあえて予防接種を受けさせない親の増加などがあるという。
 ともあれ、自分のためだけでなく家族や周囲のためにも、これらの予防接種を受けていない人はなるべく早く接種を受けるべきだろう。子どもの頃に接種を受けたかどうか覚えていないという人は、病院で検査を受けることで自分が抗体を持っているかを確認できる。
 ただし覚えておきたいのは、風疹やはしかの抗体検査や予防接種の費用は、医療費控除の対象にはならないことだ。医療費はあくまで病気やけがの治療にかかる費用を指し、病気にかからないために受ける予防接種は該当しないというのがその理由で、これはインフルエンザなどにも当てはまる。
 とはいえ風疹の抗体検査には約5千円、予防接種にも同じくらいの費用がかかる。家族全員が受ければ少なくない出費となってしまうが、そうした時は自治体のホームページをチェックするようにしたい。現在の風疹の流行を受けて、多くの自治体では抗体検査や予防接種費用の助成を行っている。例えば東京都千代田区では、19歳以上の女性で妊娠予定、または妊娠を希望する人、そのパートナーや妊婦のパートナーおよび同居家族、予防接種の"空白世代"に当たる30~50代の男性――のいずれかの条件を満たす人に対しては、無料で抗体検査と予防接種を実施している。自治体によって細かい条件は異なるが、全額無料としているところも多いので、この機会に抗体検査や予防接種を受けることをお勧めしたい。はしかについても同様に助成を行っている自治体もあるので、併せてチェックしたいところだ。


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2019年6月14日 金曜日

Vol.0497

<タックスニュース>

仮想通貨の税務  50人と30社で申告漏れ100億円

 仮想通貨取引について、全国の国税当局が総出で税務調査を実施したところ、少なくとも50人と30社が総額約100億円分を申告していなかったことが明らかになった。東京国税局が都内にある複数の仮想通過交換業者から顧客データを取り寄せて分析し、売却益が膨らんでいた個人と法人を抽出した。このうち70億円以上は、親族や知人の名義による口座で取引したり、取引の記録を残していたにもかかわらず意図的に売却益を少なく見せかけたりしており、重加算税の対象となる所得隠しに該当すると認定された。特に高額なケースや悪質な事例は、検察当局に脱税容疑で告発することを検討しているという。
 また、国税庁は5月31日、個人による2018年分の個人の確定申告で、仮想通貨(暗号資産)取引を含む「雑所得」の収入が1億円以上となった「億り人」が前年比で18%減の271人だったと発表した。相場が下落基調だったことが響いたとみられる。一方、今年3月までの数年間で仮想通貨を巡って計約100億円の申告漏れが発生していたことも判明し、課税逃れが横行している実態が浮き彫りになった。
 国税庁によると、18年分の所得税の確定申告を提出したのは2222万人で、所得額は計42兆1274億円だった。
 このうち公的年金以外の雑所得の収入が1億円以上あった465人を確認したところ、271人に仮想通貨取引による収入があった。ただし仮想通貨の売却などで損益を確定し、確定申告を行った人だけであり、国税庁幹部は「申告していないケースが相当ある」とみる。


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<タックスワンポイント>

定期同額給与は総会翌月の改定でもOK  決定と支給のタイミングがズレても問題なし

 従業員への給与とは異なり、役員報酬は厳しい条件をクリアしないと会社の損金にできない。これは、報酬額を決める立場にある役員が自由に額を設定できると、会社の業績に合わせて利益調整ができてしまうからだ。
 役員報酬が損金として認められる方法はいくつかあるが、その代表的なものが、定期同額給与だ。「一定の期間ごとに支給し、毎回の支給額が同額」という定期同額給与の条件を満たすことで、中小企業の経営者の多くが月々の報酬を損金化していることだろう。
 役員が報酬額を見直したい時には、原則として事業年度開始の日から3カ月を経過する日までに改定を行わなければならない。例外として生命保険会社などは、社員総会の開催が事業年度開始から4カ月までに開催されるため、4カ月以内の改定も認められている。
 では、事業年度が4月に始まる会社が、6月25日に開催した株主総会で役員報酬の額を改定したとしよう。この会社は毎月末日が給与の支給日であるため、実際に改定後の報酬額が反映されるのは、次の7月31日支給分からになってしまう。こうしたケースでは、事業年度開始から3カ月をオーバーしたため、役員報酬を損金にすることができないのだろうか。答えはノーで、問題なく損金化が可能だ。
 国税庁のQ&Aではこうしたケースに対して、「6月25日から開始する職務執行期間に係る最初の給与の支給時期を、総会直後に到来する6月30日ではなく、その翌月の7月31日であるとする定めも一般的と考えられます」と許容している。たとえ実際の支給日が事業年度開始から3カ月をオーバーしていても、ちゃんと定期同額給与として認められるわけだ。もちろん総会直後の6月30日支給分から改定が反映しても、改定前の4?5月、改定後の6月?翌年3月の給与が同額であれば、そちらも問題なく定期同額給与となる。
 その他、例外的に事業年度の途中での改定が認められる理由としては、役員の職制上の地位の変更があったり、職務内容の重大な変更があったりした時(臨時改定事由)や、事業年度中に法人の経営の状況が著しく悪化した時(業績悪化改定事由)などがある。これらの理由もなく、例えば事業年度開始から半年後に役員給与の改定をすれば、改定前と改定後の差額は損金にできないので注意したい。


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2019年6月 7日 金曜日

Vol.0496

<タックスニュース>

GAFA狙い撃ち  G20でデジタル課税創設へ

 日米欧や新興国などの20カ国・地域(G20)が6月8~9日、福岡市で開かれる財務相・中央銀行総裁会議でデジタル経済に対応する法人課税の基本方針を打ち出す。企業の本社機能がある国から、実際にサービス利用者がいる国に対して税収を配分する仕組みだ。米国のGAFA(グーグル、アマゾン・ドット・コム、フェイスブック、アップル)など世界をまたいで事業を展開し経済構造を大きく変えている多国籍企業を狙ったもので、新たなルールの最終合意は2020年を見込んでいる。
 現在の国際課税は、工場や支店などの物理的な拠点ごとの利益によって課税額を算定するのが原則だ。これに対し、GAFAなどはネットを通じて世界中でサービスを提供する一方、あえて拠点を設けず、利益につながる知的財産や顧客のデータを税率の低い国に置いて税負担を軽くしてきた。G20は経済協力開発機構(OECD)に指示し、国際的な議論を開始。米国を含め、主要国は利用者がいる国に税収を配分することで意見が一致しているという。
 G20を境に、各国税収への影響も試算したうえで、具体的な税金の計算方式や新ルールが適用される企業の範囲などを検討する。利益率が高い企業に適用対象を絞る案も浮上している。しかし制度設計によってはIT企業以外にも影響を与え、自動車メーカーやアパレルブランドなどの税金の支払先が本国から進出先に移る可能性が出てくる。各国とも税収を確保したい思惑があるため、具体策が煮詰まっていくにつれ調整が難しくなっていくとみられる。


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<タックスワンポイント>

贈与に必要な「あげましょう」「もらいます」  調査を受ければ9割に申告漏れ

 「ところで奥様、過去に働かれていたことはありますか」「いえ、ずっと専業主婦です」「おかしいですねえ、どうしてこんなに預金に残高があるんでしょうか。これは亡くなったご主人の収入ですね。贈与の証拠がなければ、相続税の対象となってしまいますが...」
 非常によくある、相続税の税務調査でのやり取りだ。亡くなった夫としては生前に妻に財産を渡したつもりだったかもしれないが、それを妻が証明できなければ贈与は成立せず、相続財産として相続税を課されてしまう。2017事務年度に贈与税の税務調査は3809件実施され、なんとそのうち93・6%が何らかの申告漏れなどを指摘されている。
 贈与の大原則は、「ただであげましょう」「ただでもらいます」という双方の合意と認識があることだ。例えば孫名義の通帳を管理していて自分名義の通帳から移し替えるだけで贈与をしたつもりになっているケースがあるが、もらった側が知らないで贈与が成立することはない。贈与をするなら、きちんと相手に伝えることと、もらった人に財産が実際に渡って、もらった人自身によって管理されている――という事実が重要となる。
 合意の確認は書面でしなくても、口頭でもかまわない。しかし税務調査の場面で証明できる自信がないなら、契約書などの書面にして自署押印しておくと非常に心強いだろう。公証役場で確定日付を打ってもらえば、その日に契約書が存在したことを証明してくれるため、さらに安心だ。
 また、モノの実際の引き渡しなくして贈与は成立しない。現金や預金なら、あげる人の通帳からもらう人の管理する通帳へきちんと振り込まれていることが贈与の証明となる。不動産を贈与するなら、登記などの名義変更手続きを絶対に忘れてはならない。
 年間110万円を超える贈与は贈与税の納税が必要となるため、あえて贈与の証明として111万円の贈与をするケースもよく見かけるが、申告をしたからといって必ず相続税を免れることができるというわけでもない。贈与が成立したという事実があり、証明書類を整えておけば心配することはないだろう。


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