タックスニュース

2019年11月29日 金曜日

Vol.0519

<タックスニュース>

2020年4月スタートの配偶者居住権  死亡による権利消滅に課税なし

 2020年4月に始まる相続税の「配偶者居住権」制度について、居住権を持つ配偶者が死亡して権利が消滅する時には、原則として所有権を持つ子などに税負担が課されることはない。一方で配偶者存命中の合意による権利の解除は「みなし贈与」扱いとなり所有者に贈与税が発生する可能性があるので注意が必要だ。
 配偶者居住権は民法改正で導入された制度で、相続財産としての家の価値を「所有権」と「居住権」に切り離し、配偶者はそのうち居住権のみを得れば家に住み続けられるようにするもの。これまでは遺産分割協議で配偶者が自宅を得るとそれだけで法定相続分を満たしてしまい、預貯金といった他の相続財産を十分に取得できない可能性があったことを踏まえ、居住権だけを切り離すことで、自宅に住み続けた上で他の預貯金なども受け取れるようにするのが制度の狙いだ。
 居住権の評価額は平均余命などを基に算出され、配偶者が高齢であるほど安くなるように設定される仕組みとなっている。そもそも仲の良い家族であれば、こうした居住権をわざわざ設定しなくても家を相続した子が親を住まわせれば生活に不安はないが、すべての家族がそうはいかないのが現実で、家族円満ではない配偶者の権利を保護したのが、配偶者居住権ということになる。
 本制度について、仮に配偶者居住権を妻が、所有権を子が取得した場合、将来的に妻が亡くなった時には居住権そのものが消滅するため、子は居住権分の税負担を負うことなく、自宅を手に入れることができる。そのため、仲の良い家族でも将来の相続税対策として制度を活用する余地があることから、何らかの規制が通達などによって示される可能性も指摘されている。
 だが国税庁の『相続税法基本通達等の一部改正についてのあらまし』によれば、配偶者の死亡により消滅した配偶者居住権につき、「配偶者から建物等所有者へ移転し得る経済的価値は存在しないと考えられる」として、相続税などの課税はないという。一方で、存命中の配偶者と所有者による合意による居住権の解除があった時には、その時点で残存する居住権分の贈与があったとして、所有者に贈与税が課されるとしている。
 注意したいのは、配偶者の死亡などによって権利が消滅するケースでも、相続税が課されないのは「原則」としている点だろう。過去にもあった節税手法と同様に、配偶者居住権を使った過度な税逃れがあった時には、当局に否認される可能性もゼロではないことには留意したい。とはいえ配偶者居住権を設定しておけば、将来の相続税負担が減ることはあれ増えることはまずないため、仲の良い家族であっても配偶者居住権を「とりあえず設定しておく」と考えるケースは20年4月以降、増えていくかもしれない。


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<タックスワンポイント>

災害に備えた非常用食品の計上時期は?  「消耗品」として購入時に損金計上

 今年も大型の台風や豪雨によって全国で被害が相次いだ。水道やガスなどのインフラが止まった地域へは、ガスボンベで温めることができるレトルト食品などが全国から寄せられ、多くの被災者の命をついだ。
 レトルト食品に代表される非常食をはじめ災害に備えて水や食料を保有する家庭は東日本大震災を機に急増した。農林水産省のデータによると、地震前の2010年には、水と食料を準備している家庭は37%、水のみが14%、食料のみが10%という状況だったが、震災翌年には水と食料の備蓄が52%に増え、水のみや食料のみとあわせて何らかの備えをしている家庭は78%となった。
 家庭と同様、災害への備えとして「非常用食料品」を備蓄している企業も多いだろう。これら非常用食品は購入した時点では使用しないため、いつ資産計上するのか税務上の取り扱いで迷うことがあるだろう。
 消費期限まで減価償却資産として毎年損金計上していくのかとも考えてしまうが、食料品は繰り返し使用するものではないため「消耗品」として取り扱うことになる。その効果が長期間に及ぶ場合でも、食料品は減価償却資産に含まなくてよい。さらに、備蓄している食料品が「消耗品で貯蔵中のもの」に該当する場合でも、災害時のための非常食は、備蓄することで、すでにその目的を果たしていると考えられる。そのため、購入した時点で損金計上してよいとされている。


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2019年11月22日 金曜日

Vol.0518

<タックスニュース>
次世代通信規格への税優遇  "ファーウェイ対策"が条件
 与党の税制調査会は、総務省が2020年度の税制改正要望に盛り込んだ次世代通信規格「5G」に関する投資の支援税制について、サイバー攻撃への安全対策を整えていることを条件に導入を認める方針を決めた。中国の華為技術(ファーウェイ)を敵視する米国が、中国製品を5G市場から排除するよう関係国に求めており、安全保障の面で同調が必要と判断した。企業が提出した投資計画を基に、関係省庁を所管する大臣が支援対象に該当するか判断する仕組みになりそうだ。
 総務省は8月に打ち出した税制改正要望で、5G関連の投資を促進する税制を創設するよう求めた。携帯電話大手各社が当初の計画よりも前倒しで基地局を設置した場合、法人税から投資額の一定の割合分を差し引くことなどを念頭に置いたもので、工場の内部など特定の地域で5Gを使った無線通信が可能になる「ローカル5G」も支援の対象に加えることが掲げられた。すでに経済産業省も賛意を表明し、経団連も同様の提言を出している状況だ。
 これに対し、自民党は無条件の支援に難色を示している。11月12日に開かれた経済産業部会では、出席した議員から認定に厳しい条件を課すよう求める声が続出。甘利明税制調査会長も「安全・安心の下に普及したものが競争力を持つようにする必要がある」と語った。
 ファーウェイは5Gに関連する特許数で世界トップを誇るが、米国は連邦通信委員会のパイ委員長が「通信ネットワークで重大な懸念がある」と指摘するなど、各国の当局と共闘して中国製品を排除する考えを示している。日本の通信各社は5Gの基地局をメーカーから買い取って整備を進めているが、ファーウェイ製品は小型でコストが抑えられるメリットが指摘されており、「米国にどこまで従うべきなのか悩ましい」(通信大手役員)というのが本音。打ち出される支援税制の実効性が危ぶまれている。


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<タックスワンポイント>
配偶者居住権が来年スタート  子の税負担を大きく減らせるかも
 2018年7月に改正された相続民法の柱である「配偶者居住権」が20年4月にスタートする。これまでは、遺産分割協議で配偶者が自宅を得るとそれだけで法定相続分を満たしてしまい、預貯金といった他の相続財産を十分に取得できない恐れがあった。そこで家の価値を「所有権」と「居住権」に切り離し、そのうち居住権のみを得れば家に住み続けられるようにしたのが「配偶者居住権」制度だ。
 居住権の評価額は平均余命などを基に算出され、配偶者が高齢であるほど安くなる。配偶者が居住権を得ることを選択すれば、他の財産の取り分が実質的に増え、生活の安定につながる。配偶者居住権は他人に売却することはできず、配偶者が死亡した時点で消滅するというルールだ。
 そしていま、この配偶者居住権を利用した新たな相続税対策が話題となっている。
 例えば父親が死亡して相続税評価額5千万円の自宅が残されたケースで、所有権3千万円と居住権2千万円に分割して子と母親がそれぞれ相続したとする。将来的に母親も死ぬと、その時点で居住権は消滅するので、子には相続税は課されない。するとどうなるか。子は5千万円の価値のある自宅を3千万円に対する課税だけで手に入れたことになる。相続税負担をトータルで大きく減らせるわけだ。
 さらに配偶者居住権は他人に売却することができないが、所有権を持つ子による物件の売却は禁じられていない。普通に考えれば配偶者居住権付きの物件は売れにくいかもしれないが、仮に「居住権付きだから」と相場より安い値が付いた場合、購入する側は、将来的に配偶者が死亡して居住権が消滅した後に高値で転売できれば、それなりの利益が見込めることになる。配偶者が何年生き続けるかなど不確定要素は多いが、居住権付き物件が投資対象として注目される可能性はゼロではない。
 改正法では、配偶者居住権が消滅するのは、配偶者が死亡した時、所有権を持つ者と配偶者の合意があった時、配偶者による商利用などの用法遵守義務違反があった時のみで、配偶者が住み続ける必要はないとの解釈がされている。居住権取得後に養護施設などに入ることになれば権利の"持ち腐れ"になってしまう可能性がある一方で、権利だけ取得した上で転居し、前述のような相続税対策としてだけ使うという選択肢もあるということだ。
 こうした「配偶者の老後の生活を保護する」という本来の制度趣旨から離れた使い方について、現状では法律による規制はない。今後、20年4月のスタートまでに国税庁の通達による新たなルールが課されるのか、注目したい。


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2019年11月15日 金曜日

Vol.0517

<タックスニュース>

ついに法廷闘争に発展  ふるさと納税・泉佐野市の勝算は?

 ふるさと納税制度から除外された大阪府泉佐野市が、除外決定の取り消しを求めて11月1日、高市早苗総務相を相手取って大阪高裁に提訴した。返礼品競争に端を発する地方と国の対立はいよいよ法廷へとステージを移した。
 ふるさと納税制度を巡っては、2018年11月に総務省が全国に「返礼率は3割以下に抑えるべし」と要請する文書を送った後も、泉佐野市、静岡県小山町、和歌山県高野町、佐賀県みやき町の4市町村がアマゾンギフトカードなどの高額返礼品を送り続けたことから、19年6月に始まった新制度のもとで4市町を制度から除外することが決まった。泉佐野市が「過去にさかのぼる法の適用は不当」として国地方係争処理委員会に訴え、委員会が「地方自治法に反すると評価される余地が生じる」と認定しても、総務省は「真摯(しんし)に受け止めた上で、総合的・多角的に検討した結果、改めて地方自治法に抵触せず、適法であるとの結論を得た」(高市氏)として、除外決定の継続を通知していた。
 総務省の除外継続の通知を受けた千代松大耕市長は「結果は到底受け入れられない」と猛反発。通知から1カ月の期限を目前にして、高裁への提訴に踏み切った。地方自治法に基づき高裁が一審となるが、泉佐野市は「高裁で負けたら最高裁まで争う」(阪上博則・成長戦略担当理事)と徹底抗戦の構えを見せている。第1回口頭弁論が15日までに開かれ、早ければ年内にも判決が出る。
 国と地方の対立が国地方係争処理委員会に持ち込まれたケースは泉佐野市を含めてこれまで4件あるが、裁判まで持ち込まれたのは泉佐野市が初めてだ。裁判に至らなかったケースでも自治体側の主張がそのまま通った例はなく、泉佐野市にとっては厳しい戦いとなりそうだ。
 また泉佐野市では、ふるさと納税で全国を集めた寄付金を目的外利用していたことが明らかとなっている。18年度に受け入れた寄付金300億円を、公共施設を整備する基金に積み立てておきながら、返礼品の費用などに充てていたという。市は「予想以上の寄付金が集まったため一時的に基金に積み立てていただけで、市民に損害は与えていない」と説明し、必要な条例改正案を12月に議会に提出する方針を示した。
 もっとも手続きの不備があったことは市も認めていて、悪質性があったかどうかにかかわらず、基金の目的外利用は地方自治法に抵触する疑いがある。総務省の地方自治法違反を指摘しながら、自身も同法違反の疑いを持たれる行いがあったことは、世論の支持を得体泉佐野市にとって痛手となるかもしれない。


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年末ジャンボ発売迫る  10億円の分配は「共同購入」で無税に

 いよいよ11月20日から年末ジャンボ宝くじが発売される。令和初となる今回は1等7億円が23本、前後賞合わせると10億円。抽選は12月31日に東京オペラシティで行われる。1等の当選確率は約2000万分の1で、パーセントにすると0.000005%という極めて低い確率だが、それでも10億万長者という夢をみて、今年も多くの人が購入売り場に列を作るだろう。
 宝くじを買う際には、「当たったら半分あげるよ」と冗談まじりに言うことがあるが、本当に当たって約束通りに半分を与えることになったときは、税務上は大変なことになる。宝くじに税金がかからないのはよく知られるところだが、当選後の贈与となればそうはいかない。
 10億円当たって半分の5億円を譲渡すれば、基礎控除110万円を引いた残りの4億9890万円に最高税率の55%を掛け、そこから控除額の400万円を差し引いた約2億7000万円が贈与税として持っていかれることになる。すなわち、約束どおり5億円を分けてもらっても、手元に残るのは約2億3000万円だけとなる。
 そこで、当選金を減らすことなく分けるためには、共同購入したことにすればいい。当選金を受け取る際に、分けたい相手と一緒に銀行へ行き、共同で宝くじを購入したことを伝えると、当選金も共同で、それぞれが受け取ることができる。これで贈与税は回避できるというわけだ。
 注意しておきたいのは、受け取りの際に銀行が発行する「当選証明書」を大切に保管しておくこと。税務調査では必ず5億円の出どころを聞かれるので、その際に証明書を見せることであらぬ疑いを持たれずに済むというわけだ。


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2019年11月 8日 金曜日

Vol.0516

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税金18億円のムダ遣い  情報漏えい防止システム廃止

 サイバー攻撃などによる政府の機密情報流出を防ぐため、総務省が約18億円かけて開発したセキュリティーシステムが、各省庁で一度も使われないまま3月末に廃止されたことが会計検査院の調べで分かった。検査院は、各省庁との調整が不十分でニーズを把握せずに開発を進めたことが原因と指摘した。
 総務省は、各省庁の情報システムを集約化した「政府共通プラットフォーム」内に「セキュアゾーン」と呼ばれるシステムを構築。各省庁がインターネットから遮断された環境で機密情報を管理する目的で開発された。セキュリティーを高めるため、機密情報を閲覧できてもダウンロードはできない仕組みにした。
 2015年に日本年金機構がサイバー攻撃によって約125万件の個人情報が流出させた事件をきっかけに、厚生労働省と農林水産省が利用する意向を示していた。17年4月から運用を開始したが、セキュリティーを重視するあまり、機密情報の閲覧はできてもダウンロードができないなど使い勝手の悪さから、厚労、農水両省ともに利用を見送った。他省庁も利用を希望せず、システムは今年3月に廃止された。開発にかかった費用は総額で18億8709万円に上った。
 高市早苗総務相は29日の会見で、「今回の会計検査院のご指摘を重く受け止めて、今後は適切に対応してまいりたい」と述べた。


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持ち越すか、NISA年末前の選択  手続き期限を要チェック!

 2015年に少額投資非課税制度(NISA)を始めた人は、12月末でNISA口座の非課税期間が終了する。非課税期間が終わったNISAは、課税口座に移管するか、新たに20年度から始まる5年間の非課税口座に持ち越す「ロールオーバー」を行うかを選ぶことが可能だ。売却するか持ち越すか、どちらが得かを見極めての選択が求められる。
 NISAは、投資して得た利益の全てが非課税となるが、年間の投資額は120万円が上限で、5年間では大きな利益が生まれづらいという側面がある。そこで非課税期間終了時に「ロールオーバー」を選べば、5年間の非課税期間が終わった時点でのNISA口座に残った残高をそのまま翌年から5年間、非課税で投資を続けることができる。しかも元手となる投資資金は17年度税制改正で上限が撤廃され、現在は青天井となっている。
 例えばNISAが開始した15年に当時の年間上限額である100万円で投資をスタートした人が、非課税期間の最終年である19年までに、その額を5倍の500万円まで増やしたとする。そこで500万円を課税口座に移してしまうと、5年間で得た利益400万円は非課税になるものの、今後投資して利益を得た時には、元手500万円との差額に譲渡所得税が課されてしまう。一方ロールオーバーを選べば、改めて20年度スタートのNISA口座に500万円が入り、そこから5年間で5倍の2500万円まで増えたとしても、全額が非課税となる。どこまで増やせるかは腕次第とはいえ、投資期間が単純に倍になるわけだ。注意点としては、ロールオーバーの枠に上限はないものの、その年の投資上限枠をつぶしてしまう点には気を付けたい。つまり120万円以上をロールオーバーすると、その年はもうNISA口座への入金ができなくなる。
 ロールオーバーは元手が増えた時だけでなく、減ってしまった時にも有用だ。非課税期間が終了した時にNISA口座のお金を課税口座に移すと、株などの取得価額はその時点でリセットされてしまう。100万円で買った株が5年間で70万円まで値下がりしていれば、「70万円で買った株」とみなされ、その後100万円まで値戻りした時には30万円分の利益があったとして課税されてしまうのだ。この時にロールオーバーを選べば、取得価額70 万円の株として6年目以降も運用し、元値に戻ったからといって不要な税負担を課されることはない。
 ロールオーバーについては、秋ごろに口座所有者の元へ手続きを行うための書類が届き始めているはずだ。銀行や証券会社によって手続きの期限は異なり、早いところだと11月には締め切ってしまうこともあるので、ロールオーバーを検討している人は手続きを急ぐようにしたい。


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