タックスニュース

2020年1月31日 金曜日

Vol.0527

<タックスニュース>

超富裕層への徴税が破綻  富の偏在、2153人>46億人

 国際援助団体オックスファムは1月20日、世界の超富裕層2153人の所有する資産が、世界人口の6割にあたる46億人の持つ富の合計よりも大きいとする報告書を発表した。世界で経済格差が広がる要因として「税率の引き下げと意図的な税逃れによって超富裕層と巨大企業からの徴税が破綻している」と指摘した。
 こうした状況を打開していくため、報告書では(1)富裕層、高所得者、大企業への課税強化、税逃れ対策、(2)低賃金・無権利が横行する介護等の労働者の保護、(3)性別に基づく仕事の分担という思い込みの克服、(4)有給休暇の取得促進――などを求めている。また、最も裕福な1%の人に今後10年間0.5%追加課税すれば、教育、医療、高齢者介護などの分野で1億1700万人の雇用を創設するのに必要な投資額と同じになるとも報告している。
 報告書は、21日にスイスで開催される世界経済フォーラム(ダボス会議)に先立って発表された。


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<タックスワンポイント>

倒産防止共済の2種類の処理方法  税負担は変わらないが"見栄え"が変わる

 中小企業経営者が加入するポピュラーな共済の一つに、「経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)」がある。この共済は中小企業の連鎖倒産を防止するために作られた制度で、取引先企業が倒産した時に無担保・無保証でまとまった額の資金を借り入れることができるものだ。さらにもしもの保障だけでなく、掛け金の全額を損金とすることができ、1年分の掛け金を一括納付して決算月直前にまとまった損金を生み出せるなど税金面でのメリットもあることから、保障よりむしろ節税目的で加入している経営者が多いかもしれない。
 このように加入するだけでもメリットのある経営セーフティ共済だが、掛け金を支払ったときの会計処理に2種類の方法があり、それぞれ状況に合った処理方法を選ぶことで、さらにメリットが増えることは知らない人も多いのではないだろうか。
 2種類の方法とは、「費用」として処理するやり方と「保険積立金」として資産計上するやり方だ。
 前者のやり方は、「費用」として計上した時点で会計処理が完結するという簡単さがメリットだ。ただし支払いのたびに費用として処理するため、後から積立総額を把握することが困難になるというデメリットがある。
 後者のやり方は正確に言えば、会計処理の段階では「保険積立金」として資産計上し、法人税申告書で損金にするという手順を踏む。この方法は会計処理時と税務申告時の2段階で処理をするため、申告書での調整漏れや必要書類の添付忘れといったリスクがある。ただしメリットとして、共済の掛け金の上限である800万円を払い終わった後にも資産計上されるため、備忘録代わりになることが挙げられるだろう。
 さらにこのやり方のメリットに、資産として計上するため、決算書上の当期純利益や繰越利益剰余金が増えるという点がある。決算書で剰余金が多いということは、それだけリスクに対して準備しているということが目に見えて分かる。つまり金融機関に好印象を与え、融資を受けやすくなるというわけだ。
 どちらの会計処理を選んでも、支払う法人税の額は変わらない。ただし後者のほうが決算書の"見栄え"は良くなるため、近いうちに融資を受ける予定があるなら、「保険積立金」として計上したほうが得策かもしれない。


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2020年1月24日 金曜日

Vol.0526

<タックスニュース>

グーグルがタックスヘイブン利用縮小へ  批判強まり方針転換

 米グーグルは、租税回避地(タックスヘイブン)を活用した節税を縮小する方針を決めた。法人税がない英領バミューダ諸島などに設立した関係会社を使って税負担を抑えてきたが、プラットフォーマーと呼ばれる巨大IT企業による節税に批判が強まり、見直しに追い込まれた格好だ。20カ国・地域(G20)と経済協力開発機構(OECD)が今年中の導入合意を目指すデジタル課税に先行して対応する狙いもある。
 グーグルはこれまで、バミューダ法人が管理するアイルランド子会社に対し、インターネット検索や広告に関する知的財産権を付与。さらにこの子会社が、事業を営む別のアイルランド子会社に技術を与え、その対価はオランダ子会社を介して受け取ってきた。こうした仕組みは1980年代に米アップルが考案したとされ、「ダブル・アイリッシュ・ダッチ・サンドイッチ」と呼ばれ、租税を回避する代表的な手法として広まってきた。
 グーグルは2018年、オランダ子会社からバミューダに218億ユーロ(約2兆7000億円)の資金を移転したとされる。前年より1割増えていて、批判を受けても過剰な節税意識が変わっていないことをうかがわせていたが、今後は知的財産権をバミューダ法人の管理子会社を経由せず、米国から直接供与して資金を移動しなくて済むように改めることにした。
 米国の巨大IT企業は、利益の大部分を低税率国やタックスヘイブンにとどめ、実際に利益を上げている消費者のいる国々で十分な税負担をしていないと批判されてきた。各国は監視を強めており、グーグルも19年9月、法人税率が低いアイルランドに欧州本社の機能を置いて課税を免れていた問題を巡り、罰金など9億6500万ユーロ(約1150億円)を支払うことでフランス国税当局と和解している。


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<タックスワンポイント>

眼鏡の代金は医療費控除で差し引ける?  レーシック手術は自由診療だが...

 近視や遠視を矯正するための一般的な眼鏡の購入費用は原則として、たとえ視力回復のためであっても、所得からその費用を差し引ける「医療費控除」の対象にはできない。
 ただし、すべての眼鏡購入が対象外になるわけではなく、例外もある。医療費控除の対象になるケースは、例えば視力機能が未発達の子どもが治療を受けている医師から視力発育促進のために眼鏡使用を指示されたときや、白内障患者が手術で傷ついた部分の保護や治癒までの視機能回復のために着ける眼鏡を購入したときだ。総じて医師の治療が必要な症状があり、実際に治療が行われているなら医療費控除の対象となり、実際に眼鏡購入に関して認められるのは弱視、斜視、白内障、緑内障、難治性疾患(調節異常、視神経炎、角膜外傷、虹彩炎など)のうち、一定の症状が出ているものに限られているようだ。この条件は、コンタクトレンズも変わらない。
 なお、眼鏡の購入費用が医療費控除の対象になるとき、眼鏡のフレーム代についても、プラスティックやチタンなど一般的に使用されている材料を使用していれば購入費用は控除対象になる。一方で、特別に高価な材料を使っているときや、特別な装飾を施しているときなど、ぜいたく品とみなされれば費用を控除することはできないので注意が必要だ。
 最後に、角膜にレーザーを照射して視力を回復させる「レーシック手術」は、保険診療の対象にはならないが、「医学的な方法で正常な状態に回復させるもの」として、医療費控除の対象に含めることは可能だ。病院にもよるが、レーシック手術を受ければ片眼だけで10万円を超えることも珍しくないため、手術を受けた時は医療費控除を受けることを忘れないようにしたい。


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2020年1月17日 金曜日

Vol.0525

<タックスニュース>

届かなかったおせち  ふるさと納税返礼品の業者が破産

 茨城県筑西市のふるさと納税の返礼品を生産していた飲食業者の「小野瀬フーズ」(同市)と関連会社の「小野瀬水産」(同)が、東京地裁から破産手続きの開始決定を受けたことが1月8日に分かった。同社が担当していた返礼品のおせちが寄付した人の手元に届いていなかったことから、筑西市が謝罪会見を開くなど話題となっていた。
 筑西市の須藤茂市長は1月6日に記者会見を開き、「本市に納税していただいている方、市民に大変な迷惑や心配をおかけし、心からお詫び申し上げる」と頭を下げた。市によれば、ふるさと納税の返礼品であるおせち料理は12月31日に寄付者に届けられる予定だったが、同日午後に「返礼品がまだ届かない」との問い合わせが相次いだ。製造元の小野瀬水産に確認したところ、配送に遅れが出ていることが判明。元日午前3時ごろに市職員が同社を直接訪れると、「生産、発注に対応できていない」との報告があったという。
 市は対象者に連絡して謝罪した上で、同社が担当するプリンやスイートポテトなど他の返礼品についても配送中止を決定。対象者には寄付金の返金や別の返礼品との交換を検討することを決め、製造が間に合わなかった原因も調査するとしていた。
 小野瀬フーズは1991年設立。飲食店を経営していたが、大手チェーンとの競争などにより客足が伸び悩み、近年は赤字経営を強いられていたという。金融機関の支援を得ながら経営再建に取り組んでいたが、今回の返礼品トラブルを受けて、先行きの見通しが立たなくなったと判断した。


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<タックスワンポイント>

不要な固定資産を有姿除却で経費計上  一度でも使えば否認の可能性大

 少し前までは社の稼ぎ頭としてフル稼働していた機械設備であっても、時代の流れとともに使用頻度は減り、いまでは全く使わなくなって工場の片隅でホコリをかぶっているということもあるだろう。解体や廃棄をしてスッキリしたいが、その費用の捻出は難しい。
 そうしたときに使いたいのが法人税の「有姿除却」だ。読んで字のごとく、実際に廃棄せずに姿はそのままでも、除却損を計上できる。以前からある制度だが、一躍注目を浴びたのが2011年の東日本大震災による原発事故だ。
 東京電力福島第一原発の爆発事故では、地域住民の多くが避難を余儀なくされたが、それは企業の社屋や工場も同様だった。放射能汚染されて今後は使い物にならなくなった建物は解体も困難であることからそのほとんどが放置されたままだが、そうした固定資産の多くで有姿除却が認められ、税務上の損失が計上された。
 原発事故は極めて大きな話であり滅多にないことだが、有姿除却はもちろん日常の企業活動のなかで生まれた放置資産についても使える制度だ。
 だが、税務署が有姿除却を認める際のチェックは厳重で、社長の「もう使わないつもり」といった程度の理由ではまず認められることはない。国税庁のウェブサイトには「特定の製品の生産のために専用されていた金型等で、当該製品の生産を中止したことにより将来使用される可能性のほとんどないことがその後の状況等からみて明らかなもの」と例示されていることからも、放射能汚染ほどの大事でないにしても、税務職員を納得させるには相応の理由が必要なようだ。
 また、「実は大量受注があったときに稼動してしまった」「たまに古い商品の修理依頼がくると使っている」など、完全不要でないと見られれば容赦なく否認されるので注意したい。不要資産を抱え込んでいる会社にとってはなんともありがたい制度だけに、実際には廃棄していないものを帳簿上「廃棄した」ことにする以上、それなりの体裁を整える努力は必要になる。


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2020年1月10日 金曜日

Vol.0524

<タックスニュース>

アマゾンが納税方針を転換  年間で約150億円納付

 インターネット通販世界最大手のアマゾン・コムが、日本国内の売上を日本法人で計上して納税する方針に転換していたことが分かった。納税額は2年間で約300億円弱に上る。これまで同社は収益を米国法人に計上することで日本での納税額を抑えていた。
 同社は従来、米国の親会社からアマゾンの日本法人が業務委託報酬を受け取る形で事業を運営し、日本国内での収益を低く抑えていた。しかし2016年ごろから、日本法人が取引の主体となるよう方針を改めた。17年12月期決算以降は日本法人で売上高を計上しているといい、その結果、日本法人は決算を開示していないものの17年と18年に納めた法人税額はそれぞれ百数十億円になるとみられる。日本だけでなく、世界各国で同様の方針を採りつつあるという。
 アマゾンが方針を転換させた理由の一つには、GAFAと呼ばれる同社やアップルなどの多国籍企業の税務処理に対する反発が世界中で大きくなるなかで、厳しい課税案が実現する前に、先んじて適切な納税をすることで反発を抑えるという狙いがありそうだ。また実務上でも、外国法人が取引主体では法律によって医薬品や医療機器販売に参入できないなどの制約があったことも理由とみられる。今回の方針転換は、企業イメージの向上と経営上の実利の両面で、事業実態に即した納税をしたほうがメリットが大きいと判断したようだ。こうした動きは、他の巨大IT企業の税務戦略にも影響を及ぼす可能性がある。
 一方で同社は、動画や電子書籍といったデジタル商品、クラウド事業などについては、これまでと変わらず米国法人に売上を計上している。これらの売上は大きく、事業実態に応じた税負担を同社が負担していないとの批判は今後も続くとみられる。画期的な方針転換も、各国で進むデジタル課税の議論に歯止めをかけるまでは至らないだろう。


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<タックスワンポイント>

折半負担の生命保険金は半分が相続財産  被相続人の負担分は相続財産として課税

 被相続人の死亡によって受け取る保険金のうち、相続人が保険料を負担していた分に対応する金額は相続税の課税対象にならない。そのため、父親を被保険者、長男を保険金の受取人にした生命保険について、保険料を父と長男が半分ずつ出していたときは、長男が受け取った生命保険金は半額が相続財産となり、非課税額を超える部分に課税されることになる。つまり、被相続人が負担していた分に対応する額は相続財産とみなされるということだ。
 この際、すべての相続人が受け取った保険金の合計額が「500万円×法定相続人の数」を超えると、その超える部分が相続税の課税対象になる。ここで言う「すべての相続人」には、相続放棄した人や相続権を失った人は除かれるが、計算するうえでの「法定相続人の数」には相続の放棄をした人も含めることになっている。
 一方、相続人が負担した分の保険金は一時所得として取り扱われる。受け取った保険金の額から、払い込んだ保険料と一時所得の特別控除額50万円を引いて、その額の半額に課税される。課税対象になる保険金の額には、保険契約に基づいて受け取った剰余金や割戻金、また前納保険料の払い戻し分も含まれる。


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